八ヶ岳、小淵沢に住む山岳ガイド、加藤美樹・久野弘龍が、ヨーロッパ・シャモニやドロミテ、国内の雪山、冬山、バックカントリースキー、夏山、登山・クライミング教室、ガイドを行っていま
す。国際山岳ガイド連盟・日本山岳ガイド協会所属
マルチピッチルート 山岳ガイド 加藤美樹/久野弘龍 ミキヤツ登山教室
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マルチピッチクライミングのススメ
マルチピッチクライミングというと「難しい」とか「もっと上手になってから」という方がいますが、それは違います!
易しいルートもあり、景色もよいため、楽しく登る事ができます。
そしてこの「楽しく」というのがクライミングの上達の秘訣です。
初心者講習レベルを経験した方であれば、クライミングの楽しさ、可能性を知るためにも早い段階でマルチピッチクライミングに行くことをお勧めします。
ゲレンデで次のステップ(私たちが行うステップUP初級コース)に進むのと同じく、レベルアップのためにもお勧めです。
マルチピッチクライミングは、易しいルートであれば1日の間に8〜10ピッチぐらい登る事になります。
このためゲレンデで1日登るよりも多くのクライミングを経験することになります。
このことこそ初心者講習の次にもマルチピッチクライミングを勧める理由です。
ミキヤツ登山教室では以下のコースを国内で行っています
グレード・対象 |
場所・ルート/対象レベル |
内容 |
5.7〜5.9
初心者講習レベル
参加者
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初心者講習後すぐ
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スラブ主体。初めてのマルチピッチにオススメ。初心者でも可能。ガマルートとセットで行っています。
グレード5.7〜5.8/4ピッチ アプローチ15分・登攀1.5h・下山20分(歩き)
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小川山・ガマルート
初心者講習後すぐ
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スラブ、フェイスと変化があり、春の戻り雪とセットで行っています。脱・初心者を目指して!
グレード5.8〜5.9/6ピッチ アプローチ15分・登攀2h・下山30分(懸垂下降+歩き)
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小川山・野猿返しの岩稜
初心者講習後すぐ
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スラブ、フェイスと変化がある岩稜。プロテクションが良くない処もあるので注意が必要。
グレード5.8〜5.9/8〜10ピッチ アプローチ20分・登攀2〜3h・下山30分(歩き)
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小川山バリエーション・涸沢岩峰群縦走
(やさしいラインの場合)
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標高差400メートルのバリエーションルート。幾つかの岩峰を越えて縦走します。
グレード5.8〜5.9/10ピッチ程度 アプローチ25分・登攀4〜5h・下山30分
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天狗山・ダイレクト
※小川山の近く
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フェイス、岩稜と変化がある岩稜。比較的長いので山岳バリエーションルート的。
グレード5.8〜5.9/8〜10ピッチ アプローチ1h・登攀3〜4h・下山40分(歩き)
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三つ峠・中央稜など
初心者講習後すぐ
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三つ峠のど真ん中を登る気持ちの良いルート。他のルートとセットで行います。
グレード5.8/4ピッチ アプローチ1h・登攀1.5h・下山1.5h(懸垂下降、歩きで車まで)
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八ヶ岳・稲子岳南壁
初心者講習後すぐ
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八ヶ岳の数少ないクライミングルートの一つ。初心者でも可能。
グレード5.7/5ピッチ アプローチ2.5h・登攀1.5h・下山2h(歩きで車まで)
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八ヶ岳・小同心
初心者講習後すぐ
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初夏はお花畑のクライミング。岩は脆いが初心者でも可能。
グレード5.7/5ピッチ アプローチ3h・登攀2h・下山3h(歩きで車まで)
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北岳バットレス・第4尾根
初心者講習後すぐ
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北岳の山頂近くでのクライミング。白根御池小屋で一泊必要。
グレード5.7〜5.9/9ピッチ 小屋からのアプローチ2.5h・登攀3h・下山バス停まで4h
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御在所岳・前尾根
初心者講習後すぐ
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三重県御在所岳のクラシックルート。易しい岩稜が長く続きます。通常は中尾根とセット。
グレード5.7 9ピッチ 車からのアプローチ1h・登攀3h・下山1.5h車まで (ロープウェイを使えば5分)
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伊豆城山・西南カンテ
初心者講習後すぐ
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マルチピッチのシステムを理解するのに最適。時間が余ればクライミング講習。
グレード5.8 5ピッチ アプローチ30分・登攀2h・下山1h
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グレード/レベル
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場所・ルート
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内容
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グレード
5.8〜5.9
参加レベル
初級1参加者
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長い岩稜ルート。途中のクラックは5.8程度、最後のチムニーも含めて初めての経験に良いでしょう。
グレード5.8/10ピッチ(同時行動含む) アプローチ40分・登攀4h・下山40分
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小川山・屋根岩2峰・3峰縦走
※セレクションと南稜レモン(スラブ)
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スラブとフェイスクライミングで屋根岩やさしいルートを縦走(継続)して屋根岩の岩峰ピークへ。
グレード5.8 9ピッチ+歩き アプローチ20分・登攀4h・下山30分(懸垂下降2回)
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瑞牆山・トムソーヤの冒険 |
瑞牆山頂上直下のまさにバリエーションルート。ヘッドランプ必須な冒険で核心部はワイドクラック。
グレード5.8/5〜9ピッチ アプローチ2h・登攀4h・下山1.5h
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瑞牆山・ジョイフルモーメント |
瑞牆山のクライミングエリアの地理概念を知るのに最適。4ピッチ目のワイドクラックはお勧め。
グレード5.9 5ピッチ アプローチ1.5h・登攀2h・下山1h
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二子山・中央稜 |
秋〜初冬、晩冬〜初夏限定の石灰岩クライミング。気持ちの良いクライミングが続きます。
グレード5.9 5ピッチ アプローチ20分・登攀3h・下山1h 下山は稜線の岩稜を縦走します。
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子持山・獅子岩(正面壁ノーマルルート) |
比較的低いグレードながら、本格的な岩壁クライミングが楽しめる貴重なルート。
グレード5.8 5〜6ピッチ アプローチ1h・登攀3h・下山1h
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錫杖岳・左方カンテ |
錫杖岳の入門ルート。フェイス、チムニーなど変化に富んで楽しめます。
グレード5.9 9ピッチ アプローチ車から2h・登攀3.5h・下山2h(懸垂下降+車まで歩き)
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錫杖岳・1ルンゼ |
錫杖岳の入門ルート。ほぼフェイスクライミングで登りやすいです。
グレード5.9 9ピッチ アプローチ車から2h・登攀3.5h・下山2h(懸垂下降+車まで歩き)
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北岳バットレス・ピラミッドフェース |
北岳バットレスのステップアップコース。少し脆い処があります。
グレード5.9 下部、上部のルートも併せて15ピッチ程度 アプローチ2.5h・登攀4h・下山バス停まで4h
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御在所岳・中尾根 |
このグレードで立体的(レイバックやチムニー)なクライミングは珍しいのでお勧めです。
グレード5.9 6ピッチ アプローチ1h 登攀3h 下山2h(車まで)
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グレード
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場所・ルート/対象レベル
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内容
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グレード
5.9〜5.10前半
参加レベル
初級1〜2参加者
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小川山・屋根岩3峰南稜神奈川ルート |
フェイス、チムニーと変化に富んだルート。通常は屋根岩3峰・南稜レモンクラックルートとセットです。
グレード5.9+ 3〜4ピッチ アプローチ20分・登攀1.5h・下山30分(懸垂下降+車まで歩き)
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小川山・屋根岩2峰セレクション(クラック) |
クラック、フェイス、少しだけワイドクラック。楽しめます!通常屋根岩3峰のルートに継続します。
グレード5.9+ 6ピッチ アプローチ20分・登攀1.5h・下山30分(懸垂下降+車まで歩き)
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小川山・屋根岩3峰南稜レモン(クラック) |
クラック、フェイス、ワイドクラック。楽しめます!屋根岩3峰南稜神奈川ルートとセットで行います。
グレード5.9+ 6ピッチ アプローチ20分・登攀1.5h・下山30分(懸垂下降+車まで歩き)
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小川山・屋根岩4峰神奈川ルート |
簡単なハンドクラックとワイドクラックなど多彩なクライミングは、次の瑞牆山への良いステップになるでしょう。
グレード5.9+ 6ピッチ アプローチ40分・登攀3h・下山50分
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小川山・大貧民ルート&あみだくじルート |
スラブ、フェイス、クラック、フレーク、チムニー、洞窟など多彩なクライミングで岩峰の頂上を目指します。
グレード5.9+ 4ピッチ+5ピッチ アプローチ20分・登攀2h+3h・下山20分
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瑞牆山・カナトコ/黄昏ルート |
フェイス主体ですが、ワイドクラックもあります。カナトコ岩の頂上で終了。
グレード5.10− 5ピッチ アプローチ1h・登攀3h・下山1h 時間が余れば更に2ピッチ登ります。
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瑞牆山・調和の幻想
※クラック(ワイド含む)あります。
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クラックとフェイスクライミング。5ピッチ目のワイドクラックは苦しい…。辛くてもぜひ挑戦してほしいルート!
グレード5.10− 5ピッチ アプローチ1h・登攀3.5h・下山1h
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瑞牆山・大面岩左稜線
※ワイドクラックがあります
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ほぼフェイスクライミングですが、最後にワイドクラックが…。大面岩の頂上に立てるのでおススメ!
グレード5.10− 8〜9ピッチ アプローチ1h・登攀4〜5h・下山1.5h
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太刀岡山左岩稜
※簡単なクラック有ります
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山梨の里山での岩稜クライミング。クラック、チムニー、岩稜、フェイスと続く好ルート。
グレード5.10− 8〜10ピッチ アプローチ15分・登攀3h・下山30分
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三つ峠・岳ルート、中央稜ダイレクトなど |
フェイスクライミングで登れるので比較的登りやすい。
グレード5.10− 4ピッチ×2ルート アプローチ1h・登攀4〜5h・下山1.5h 車まで
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錫杖岳・注文の多い料理店 |
ほぼフェイスクライミングです。グレードは低いですが、核心部は短くても癖があるのでこのレベル。
グレード5.9+ 7ピッチ アプローチ車から2h・登攀3.5h・下山2h(懸垂下降+車まで歩き)
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北岳バットレス・下部フランケ〜Dガリー奥壁 |
北岳バットレスのい一番のおススメルート。ピラミッドフェイスよりもスッキリとしていて楽しめます。
グレード5.10− 12ピッチ アプローチ小屋から2h・登攀5h・下山4h(バス停まで)
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伊豆城山南壁・バトルランナー |
城山南壁の人気マルチピッチは、核心部に小ハングのあるスラブ的フェイスクライミング。
グレード5.10a 4ピッチ アプローチ20分・登攀2〜3h・下山1h(懸垂下降+車まで歩き)
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西伊豆・海金剛・スーパーレイン
※簡単なクラック有ります
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太平洋を眼下に望むクライミングは、前泊の食事も含めてまさにリゾート気分。クラックがあります。
グレード5.10a 7ピッチ アプローチ1h・登攀3〜4h・下山2h(懸垂下降+車までの歩き)
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明星山・フリースピリッツ
※フェイスルート
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糸魚川にある高差450メートルの石灰岩壁。5.9程度ですがルートが長いのでこのグレードです。
グレード5.9 13ピッチ アプローチ0.5h・登攀6h・下山1h
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グレード
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場所・ルート/対象レベル
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内容
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グレード
5.10(トップロープ)
参加レベル
初級2参加者
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金峰山・鷹見岩 |
アプローチが長いですが、ルートはフェイス、スラブ、クラックと変化があってホントに楽しい!
グレード5.10 6ピッチ アプローチ 車から3h・登攀4h・下山2h
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瑞牆山・一粒の麦
※クラックルートです
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瑞牆山のクラックマルチピッチとしては比較的グレードが低く登りやすい。2ピッチ目は長く、美しい。
グレード5.10 6ピッチ アプローチ1.5h・登攀4h・下山1h
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伊豆城山南壁エキスカーション |
ポケットホールドが印象的な好ルート。スラブ、小ハング、快適なフェイスクライミングが続きます。
グレード5.10c 5ピッチ アプローチ20分・登攀2〜3h・下山1h(懸垂下降+車まで歩き)
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二子山・スーパータジヤン |
フェイスクライミングで5.10台が連続する、貴重なマルチピッチルート。
グレード5.10c 6ピッチ アプローチ20分・登攀3h・下山1h
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大台ケ原・サマーコレクション
※フェイスルート クラック無し
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大台ケ原にある高差300メートルの岩壁、千石ー。遠いので旅気分で来れば、関東からもお勧めです。
5.9〜5.10の9ピッチ。 アプローチ1h・登攀5h・下山0.7h
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グレード
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場所・ルート/対象レベル
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内容
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5.11
(クラック有り)
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瑞牆山・ベルジュエール
フェイス+比較的簡単なクラック
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ココを目標に頑張ってほしい!。1ピッチ目の5.11bを省いても(懸垂で取り付くorA0)価値があります。
グレード5.11b(省くことできます)この場合5.10 9ピッチ アプローチ1h・登攀5h・下山1.5h(車まで)
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瑞牆山カンマンボロン・ワイルドアットホーム
スラブ・クラック・フェイス
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カンマンボロンのピークに立つならこのルート。人気ルートなのはその登攀内容の多彩さにあります。
グレード5.11b 6ピッチ (実際は7ピッチ)
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瑞牆山・フリーウェイ
クラックとフェイス
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ベルジュエール行けたら次はココを目標に!ショートルートを頑張る理由はここにあります。
グレード5.11 9ピッチ 9ピッチ アプローチ1h・登攀5h・下山1.5h(車まで)
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瑞牆山・一刀(小面岩)
とにかくクラック登れること
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クラックで5.11が続くマルチピッチ。手強いですが、充実します。 |
どんなレベルを選ぶべき?
<ガイドと登る場合>
マルチピッチクライミングを楽しむ場合、私たちと登るのであれば自分の登れるレベル(グレード)で選ぶと良いでしょう。
トップロープで5.9が登れるのであれば5.9のルートを、5.10台が登れるのであれば、5.10のルートです。
<仲間同士、ご自身で行く場合>
しかし、もしご自身で仲間とマルチピッチクライミングを楽しむのであれば、つまり自分たちでリードするのであれば、登れるグレードの数字一つは下げることをお勧めします。
具体的にはリードで5.10が登れるのであれば5.9、5.11aが登れるのであれば5.10aまでのルートにしておいた方が無難です。
マルチピッチルートはプロテクションの状況がゲレンデよりも良くないことが多く(ボルト間隔が大きいとか、そもそもボルトが無いとか、貧弱だとか)、リードのフォールは怪我に
直結する可能性が圧倒的に高くなります。
マルチピッチクライミングではほぼオンサイトクライミングであり、そこでのフォールは許容されにくいという事です。
ご自身でマルチピッチルートに行く場合は、しっかりとレベルを上げて、少しレベルを下げたルートを選んだ方が安全に楽しく登れます。
クラック技術は必須ではない
マルチピッチクライミング=クラッククライミングが必須と考える方がいますが、正解ではありません。
もちろん、クラック技術が無いよりもあった方が登る際の技術的選択肢、ルートの選択肢は広がりますが、クラック技術がないと登れないという事はありません。
クラック技術が全く求められないルートもありますし、クラックが出て来てもその場で対処できる範囲で登れることが多くあります。
むしろ発想を逆にすれば、マルチピッチクライミングで初めてのクラックを経験、現場で練習する感覚でいれば良いと思います。
なぜならマルチピッチルートに行く場合は少しグレードを下げているため、クラックのピッチもゲレンデで登るよりも登りやすいことが多いためです。
特にワイドクラックはゲレンデでも練習する場が少なく、特に初めてのワイドクラックを経験できるような低いグレードはゲレンデでは皆無に近いでしょう。
ただしご自身で行く場合は、クラック技術のうちの「プロテクション技術」は必須となるので、ゲレンデでしっかりと練習すると良いと思います。
ちなみにゲレンデでプロテクション技術を練習したければ、クラックをA0で登ると上達します。
つまりカム、ナッツを決めて、それを掴んで登るのです。自分でプロテクションを取りながら、しかもそれが効いているか確認しながら登れるためです。
何故クライミングを頑張るの? マルチピッチを楽しむためです!
マルチピッチクライミングは剱岳や穂高岳、北岳など大きな山でない限り、アプローチ、クライミング、下山が1日で終わります。
しかもルートによってはアルプスなどの大きな山でのクライミングよりも、長いルートを楽しむことができます。
またルートの数も多く、ご自身のレベルに合わせて楽しむことができます。
小川山や三つ峠、二子山など比較的ゲレンデに近いエリアもあれば、アプローチは短くとも、クライミングエリアは山深く、人も少ない瑞牆山のようなエリアもあります。
新緑、紅葉の時期だけでなく、岩の間を抜ける風は比較的強くなるため、夏でも涼しく登る事ができます。
山歩きと並行して、クライミング、マルチピッチクライミングを楽しみましょう。
山岳ガイド ミキヤツ登山教室は、夏山、冬山ともに国内では八ヶ岳、穂高・槍ヶ岳、剣岳、北岳、小川山、瑞牆山など、海外ではヨーロッパのシャモニ、ドロミテで山岳ガイド、登山教室、雪
山教室、クライミング教室を行っています
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