北岳の東面に広がる岩場は、北岳に登ったことのある方なら誰もが目にしているはずでしょう。今回はその岩場のど真ん中を登ります。
バットレス第4尾根は、技術的にはそれほど難しくはなかったのですが、数年前、上部ルートが崩壊して以降は最終ピッチのみ難しくなってしまいました。
崩壊によって危険度が増したという事はないのですが、難しくなったため岩登り経験のある方しか登れなくなってしまいました。
しかしこのルート変更によって、最終ピッチ周辺でルートの性格が変わり、長いマルチピッチのルートを締めくくるには良いアクセントとなっています。
第四尾根はバットレスではもっとも一般的なルートですが、その爽快感は、日本にあるどのルートにも負けません。
最近登山がマンネリ化している方にはお勧めなので、岩登りを練習してこのルートを登ったなら、登山の新しい喜びを教えてくれるでしょう。
岩登りは基礎的な講習(小川山や御在所岩登り講習でOK)を受けたことがあり、体力があれば苦労するかもしれませんが、まあ大丈夫でしょう。
第4尾根は各ピッチに安定したテラスがあり、ゲレンデで練習する感覚で登ることができます。また、難しい箇所には手がかりとなるスリング(ヒモ)を付けておくので、最悪、それを使えば、登ることができます。ほとんどの方は初めてでも使っていないようですが。
また、ロープワークについてですが、定員2名でかつ安定したテラスがあるために複雑なものにはなりません。ガイドによっては定員3名の場合にお客様同士で確保をしあったり、一本のロープに数人が繋がって登るために自分のペースで登れないことがありますが、私達のコースでは絶対にそれはあり得ません。
とにかく、岩登りの講習、練習を北岳で行うと思って下さい。大体10ッピッチ程度のスケールですが、これをゲレンデで10本登ることだと思って下さい。しかも、途中で懸垂下降を行う箇所もあります。よい練習になるでしょう。
7月中は雪渓が残っています。アイゼンが必携となりますが、秋は問題ありません。
2日目、バットレスに登る時には最小限の荷物で登ることになります。不要な荷物は山小屋、もしくは取り付き周辺に置いておくことができます。
※標高差1000bを登り、1700bを一日で下山する要体力なコースです。しかも登りは一般ルートとは違うので1.5倍程度に考えてください。ですから少なくとも2ヶ月以内には低山でも構わないので定期的に登山を行ってください。
2日目は小屋を出て下山するまで平均で12時間行動です。技術的には難しくありませんが、体力面を考えればビッグルートであることには違いありません。
|