八ヶ岳、小淵沢に住む山岳ガイド、加藤美樹・久野弘龍が、ヨーロッパ・シャモニやドロミテ、国内の雪山、冬山、バックカントリースキー、夏山、登山・クライミング教室、ガイドを行っています。国際山岳ガイド連盟・日本山岳
ガイド協会所属

 小川山 初級岩登り講習 山岳ガイド ミキヤツ登山教室    
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 小川山での初心者岩登り講習は、フェニックスの大岩、定員は4名限定で行います。
 フェニックスの大岩はアプローチ20分ほどで辿り付く30メートルほどの岩峰です。
 
 定員4名限定で行う理由ですが、岩登りは確保者とクライマー二人一組で行動します。ですから、ロープ2本で4人であれば、休みなく練習することができ、効率が良いからです。このため、1日に登る本数は5〜8本程度になり、講習とともに充実した1日を過ごすことができます。
これがフェニックスの大岩
林道わきにあり、落ち着いて連数することができます。
最近は他のパーティも来るようになってしまいましたが、それでも他の岩場、エリアに比べれば静かな方でしょう。


傾斜は60度から90度、高さは35メートルぐらいあります。ルートの本数は5本程度あり、初めての岩登りに適した凹角状のルートから、体を振ってスメアリングをしっかりとしないといけないルート、さらにマルチピッチの練習間でできる、便利な岩場です。


他のパーティがいる場合は、ルートを占有することなく、譲り合って登る事が必要でしょう。
トップロープ張りっ放しで離れたり、一本のルートを何人もの人数で登り続けるのは論外です。
まず初めに登るべきは、岩登りで最も登り安い形状であるこの凹角ルート。


左右に手と足を突っ張りながら登ります。
こうすることで、小さな足場やのっぺりとした段差のない岩でも、滑り落ちることなく登る事ができます。


また、凹角の左の壁に左手と左足を、右の壁に右手、右足を置く必要があるため、手がかり、足場を求めて顔や体を振る必要があり、これによって視野を広くする必要性を体感できるでしょう。


実際、クライミングは怖いもので、だから行動中は周りが見えなくなるほど、頭が真っ白になります。
このため足場、手がかりを探すことができなくなり、よけいに怖くなってしまう悪循環に陥ってしまいます。

この悪循環を解決するには、「怖がらない」ではなく、自分で探し出して見つけた「納得した足場、手がかり」を使って自信をもって行動することが必要です。
そして自分の持っている技術に自信をを持って、行動することで怖さを克服しましょう。

「怖さの悪循環」を克服する最も重要、そして最初の一歩が「視野を広くして、目で足場、手がかりを探すこと」なのです。



左右に足をつっぱっていれば、左の写真の様にのっぺりとした岩場でも足を滑らすことなく登る事ができます。

この「足をつっぱる」という動きを「岩に足を押し付ける」という解釈した動きが、スメアリングという技術です。

 詳しくはこちら スメアリング


クライミングシューズを使っていても、登山靴であっても、小さな段差に乗る時には基本的にはこのスメアリングをいう技術を使います(併用します)。

まずは登山靴よりも圧倒的に性能の高いクライミングシューズでこの技術を練習しましょう。

他にもこんな技術を練習します
 L時の動き(横移動から始まる重心移動)
 重心移動によって登る
 乗っていない足の重要性(3点でなく「2+1支持」)
 スメアリング(小さな段差への立ち方)
左の写真、左足がスメアリングをフルに使っている状態です。小さな段差、あるいはのっぺりとした何もないところに足を置くわけなので、最初はとても怖いと思います。


そこで必要なのが、自分を落ち着かせること。
クライミングに一生懸命になりすぎて、怖さでいっぱいになっている頭の中をリセットさせる必要があります。
(仕事で頭がいっぱいにあった時に一服するような行動が必要になります)


腰に着けているのがチョークバッグ。
滑り止めのマグネシウムの粉が入っているのですが、これを頻繁に手に付けることで、実際の滑り止めの効果よりも精神安定剤としての効果を発揮します。


行動中、一生懸命になってしまいがちな時、何か他のことをすると真っ白になった頭をリセットできて落ち着いて行動することができるようになります。

登山中、道を間違える人は一生懸命歩いてしまって周りが見えなくなっています。こんな時は時々止まって景色を見ましょう。
クライミング中、ホールド、手がかりが見つからない時は、チョークを頻繁につけましょう。
基本的には左の写真の様に、私たちガイドが常に確保者やクライミングしている方をサポート、アドバイスしながら、2本のロープで二人一組で確保とクライミングを繰り返し練習します。

5人以上の人数になると、ロープをセットする場が限られるため、一日に登る本数が減ってしまったり、あるいは私たちガイドの目が離れてしまったりします。

これではアドバイスができないばかりか、安全管理上も問題になってしまいます。



いずれにせよ、楽しく登りましょう。





 最後に・・・

 ウェブ上の、とあるクライミング講習会のページでは、「女性は5.10a辺りまで、男性は5.10c程度が登れれば、それ以上は必要ない」などと記載されていましたが、これって女性を舐めてます。
 5.13以上の上級レベルの世界を目指すなら兎も角も、5.10クラス程度で男女の差はありません。


 5.10代では壁が垂直を越えることはまず希なので、腕力に差はなく、丁寧に足場を拾うことで、力を使うことなく登ることが可能なのです。逆に言えば、この「力を使うことなく登ること」が出来なければ、より上の1ステップへは進めないでしょう。


 また、岩登りが山で役立つグレードに限度はありません。
 より上のレベルが登れれば登れるほど体の安定感は増し、歩行技術にも長け、ルートを読む能力も育っていくからです。
 夏だけでなく冬に関しても、岩登りをゲレンデで、きっちりクライミングシューズで登れるようになってから、靴で登ることやアイゼンで登ることが大切です。
 ステップを踏むことなく、いきなりアイゼンや靴で登っても、基礎の動きが出来ないだけに、恐怖感で手足の動きがよけいに整理できなくなって混
乱し、アイゼンや靴で上手く登れるはずもないのです。


 自分の身は自分で守る。

 クライミングではロープがありますが、登山において自分の身を守る術は、あなたの持っている技術しかないのです。

 そのために、全ての登山者にとって岩登りは必要不可欠なものです。多くの山岳事故は、アルプスなどの高山ではなく、ハイキング程度の低山で起こることを知る人は希です。
 ただの転倒であっても、道迷いであっても、それが街ではないだけに、重大な事故となりうる場所が山なのです。
 安定した歩行技術や、先を読む能力を身につけること、岩登りから得る安全意識、などといった課程を経ていない日本の登山界は、残念ながらかなりの危険を伴うものとなっています。

 自分の身、また同伴者の安全を守るための努力は、惜しむべきではないでしょう。


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山岳ガイド ミキヤツ登山教室は、夏山、冬山ともに国内では八ヶ岳、穂高・槍ヶ岳、剣岳、北岳、小川山、瑞牆山など、海外ではヨーロッパのシャモニ、ドロミテで山岳ガイド、登山教室、雪山教室、クライミング教室を行って
います