八ヶ岳、小淵沢に住む山岳ガイド、加藤美樹・久野弘龍が、ヨーロッパ・シャモニやドロミテ、国内の雪山、冬山、バックカントリースキー、夏山、登山・クライミング教室、ガイドを行っていま
す。国際山岳ガイド連盟・日本山岳ガイド協会所属

 2008年11月  クライミング 海金剛スーパーレイン        

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2008年11月5日(水)


 日本広しと言えども、眼下に太平洋の青さを望みつつ、困難なマルチピッチクライミングに挑める岩場はそうあるものではないだろう。

 これが可能なのが、西伊豆は海金剛。場所は堂ヶ島より更に南の、雲見崎のそのまた裏側だ。ここは地上から見ることは出来ない断 崖であり、初登者も海から発見した岩場だと聞く僻
地にある。

 岩は凝灰岩で軟らかくフリクションが抜群。だから足は滑りにくい。
 伊豆にある城山と岩自体は同じであるが、ただしそのクライミングの質はまったく異なる。
 クラックルートなのだ。だからもちろん支点はカムやナッツを交えねばならない。ジャミングも出てくる。

 私はフェイスクライミングを得意とするため、ついフェイスを使って抜けてしまうが、ジャミングさえ決まれば、より力を使わずに登って行くことも可能なのだ。

 だからここで登るには、手や足を駆使したジャミング技術、または大きな体の振りも交えた人工壁テクニックの、どちらかが必要となる。

 それだけに、クライミングを続けて行こうとする人にとって、海金剛は大きな目標となりうる場所だろう。


 まずは意外なアプローチ核心。落ちれば登るどころか「海までダイブ」ってなこともあり得るアプローチである。慎重に。
 しかもその踏み跡への入り口がこれまたわかりにくい。ヒントは、「二つのキャンプ場の中間」です。「秋はマムシが居るよ」などとさんざん脅された上、ビクビクしながら歩く草むらから、や
がて踏み跡は地球の丸さが解るほどの広がりを持った、水平線の前に飛び出す。

 
 まだルートは始まっていません
 →アプローチですが、一カ所だけ懸垂下降の方が安全なくらいの岩場を下りて海岸へ

 FIXロープを辿ってのクライムダウン。完全な岩場。しかも脆い。
 それでも透き通った緑の岩礁に、波の打ち寄せる様は、見とれる程に美しい。(見とれてる場合じゃないけれど)
 ここを巻けばようやく海金剛。時間はさほどにはかからないが、緊張感で時間の経過を忘れてしまう。

 
 1ピッチ目、さすがは南国?草某々で木登りばかり。正直言って美しくはない

  2ピッチ目、ここから眼下に青い海が広がってきた。
が、それらを眺めている場合ではない。フィンガークラックからスラブトラバースするだけに、メンバー全員気が抜けない。ナッツ無いと怖いよ。今回持ってなかったし・・・。


  3ピッチ目、取り付きへ移動して取り付く。いよいよ
海が広がり、クライミングらしくなってきた


 
 4ピッチ目、最初の核心であるはずだが、どちらかと言えば2ピッチ目トラバースが最もイヤらしく、スッキリとしたクラックはなかなか楽しい。岩さえ剥がれなければ・・・


 
 5ピッチ目、これもムーブがあって面白いピッチ。やっぱり時折、岩の表面が壊れる・・・


 
 6ピッチ目、出だしのワイドクラックは本当にフレアしていてホールドが丸っこい。これが5,9なのがクラックの憎いところだが、右の細かなスタンスを使えばフェイスでも何とかなる。が、これ
は初登時のムーブではないだろう。

 7ピッチ目、ここまで来れば後は簡単。上に抜けてもどうせ同ルート下降なので、登る登らないどっちでも良し。
むしろ帰りも辿るアプローチの崖やマムシの方を思い出して心配になってくる頃だろう。

  あとは懸垂下降を繰り返しての同ルート下降(一部
空中懸垂を含む)
 

 眼下の海には、磯釣りを楽しむ釣り客を渡す渡し船が、ぽんぽんと喉かなエンジン音を響かせながら行き交う。
 波に洗われた岬、そこに砕ける波頭。そして遠く広がる水平線。
 何処を見ても、のどかで伸びやかな光景があって、テラスなんぞあったら昼寝したくなることだろう。

 もちろん、脆い岩だけに週末に先行パーティーの居る日など、昼寝どころではないと思われる。
 またそのロケーションに似合わず、クライミングとしては奮闘出来るルートなのであります。

 
海金剛全景


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山岳ガイド ミキヤツ登山教室は、夏山、冬山ともに国内では八ヶ岳、穂高・槍ヶ岳、剣岳、北岳、小川山、瑞牆山など、海外ではヨーロッパのシャモニ、ドロミテで山岳ガイド、登山教室、雪
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