八ヶ岳、小淵沢に住む山岳ガイド、加藤美樹・久野弘龍が、ヨーロッパ・シャモニやドロミテ、国内の雪山、冬山、バックカントリースキー、夏山、登山・クライミング教室、ガイドを行っていま
す。


 2008年 6月  北アルプス・無雪期 錫杖岳 一ルンゼ         

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2008 06 17 


栃尾駐車場発9:30 
前衛フェース取り付き11:45
横断バンド直下14:00
取り付き15:10
岩屋15:50
栃尾駐車場17:00 

キャメロット:ワンセット3番まで(必要ない人もいるかもしれませんが、あると下降時に安全です。残置使わず登れるかも。)


 小淵沢を出たのは06:00。本来はETC割引きになるギリギリのこの時間、塩尻ICに居たいところだったけれど、朝はめっぽう弱い久野&やや弱い私の組み合わせじゃ、ダラダラしていて
遅くなるのが常である。
 こうして着いた新穂高温泉。
 平湯からの笠ヶ岳はまだ多くの残雪を蓄え、既に梅雨入りしたとは思えないような、刷毛で掃いたような高層雲が爽やかに広がっています。

 今年の3月辺りは、ありとあらゆる沢筋から凄まじいデブリが押し出していた登山道ですが、今はもうその痕跡も随所に道を阻む倒木のみ。しかし、これがまた邪魔!

 登山道を離れた岩小屋から先は、当然壁の基部に広がる斜面であるわけだから、もっと激しく倒木に覆われ、更には笹も加わって、踏み跡が度々怪しくなる。
 枝を払いのけ、倒木を潜ったり乗り越えたり。ここまで荒れていることは珍しいのだが、近年では湿った重い雪が遅くまで降り積もることが多く、こうした雪が垂直の壁を雪崩れ落ちれば、
ブナの大木とてひとたまりも無いのでしょう。
 それでも久々に晴れたこの週末で、そこそこの入山者に恵まれたせいか、土曜日よりはいくらかマシに歩けるアプローチを、2時間ほどで1ルンゼ取り付きへ。

 チョンボバンドはもちろん行かずに1ピッチ目から私がスタート。
 5級の割には終了点も近く、凹角側への小テラス乗りこしに使うフレークが抜けそうで怖い。30bで切ったが、40まで伸ばして再びカンテを左に入れば、大テラスのビレイ点。
 とにかくそこいら中に残置、しかも腐ったやつがあって、もう少し整理しないと汚い。
 ここから先はビレイ・下降点以外ほとんど残置支点は必要なく、随所に走ったクラックに支点を取ることができ、オール・カム&ナッツでいった方が安全で楽しいかもしれません。

 
1ピッチ目:カムの決められるクラックは少なく、ナッツ類が欲しい  2ピッチ目:この画像の左にあるオフィズスに入れば厳しいらしい


 2ピッチ目は久野。
 テラスから見て左が草付きの凹角。右のアンダーフレーク上にクラックがあり、カムが複数決まる。このラインは5.8?
 チビの私はアンダーから凹角上のホールドが届かず、カムだけ回収後に中央のフェイスへ移る。少し細かいけどワンムーブなので5.9程か。スラブを直進で終了点。30b
 1,2ピッチ共に難しい箇所はクラックが走っているのでカムが有効です。また、縦ホールドになれていればそれほど難しく感じないかもしれません。

 3ピッチ目私。
 やはり左右に凹角があって左は草っぽい。右の緩いスラブを登ってV字岩壁基部へと続くルンゼ、緩傾斜帯に上がる。
 ルートはルンゼ左の壁にある手前の凹角と、奥の凹角。
 手前の凹角上には3畳ほどの広いビレイ点テラスがあるのだが、大きな浮き石(岩?)があるので、あえて奥から巻いた方が良いかも。40b

 
3ピッチ目:緩いがカムでの支点は取りづらい     4ピッチ目:階段状で楽ちん


 4ピッチ目久野。
 下から見ていても登っているのが見える程度の傾斜で、登りやすいピッチ。次第に傾斜はきつくなるが、白壁をバックに登る姿は、良い被写体となるでしょう。40b

 
5ピッチ目:支点の取れるクラックが左壁にもあるので問題なく登れる 
凹角の右上が終了点なので、核心部を登るセカンドのために、右テラスに上がる前で振られ止めを取ってあげましょう


 5ピッチ目私。2ピッチ目を久野にお譲りしたら、やはりA1でなくフリーラインに入るこのピッチに当たってしまった。
 カンテを乗りこし凹角に入る。
 ここは5.6という話だが、木を使わず右フェイスを登れば、細い縦クラックのホールドで5.10aくらいか。
 そのあとの抜け口も悪い。
 「僕だったらアッサリ木を使うけど:久」使わないサこんなとこで。
 残置はイヤなのでカム2個固め取りで乗り越す。アンダーフレークの飛び出す凹角を、右に乗り移り終了。35b


 
6ピッチ目:左ルートに入る  


 6ピッチ目久野。ハング下を右のオリジナルラインの凹角へ行くには少し濡れていたので、左ルートの人工ピッチへ。初め緩やかなスラブを歩き、一端右から巻いて凹角に入る手前が人工
のため、フリーで乗り越すにはバランスが悪い。しかもこの高さでのトラバースは高度感抜群。凹角内で終了。40b

 もうしばらくで横断バンドがあるが、半端な距離かつトラバースになる。結局出だしの懸垂はこの左ルートとなるため、ここからの下降とする。

 

 下降は同ルートの懸垂下降。
 リングボルトが幅を利かせるクラシックルートでは、古い残置支点を信頼すべきではないのですが、下降時には仕方がありません。
 例え複数のピトンなどから分散過重しても、必ずバックアップは取る必要があります。スリングを足して補強するパーティは、それらが過剰になるほどいると思いますが、本当に大事なの
は支点の補強。
 しかし、全ての支点を補強することは不可能であることを考えれば、少なくともバックアップを取りたいものです。
 残置支点による下降支点にテンションが掛かるようにロープをセットし、バックアップの支点にはテンションが掛からないようにしておきます。これで先に降りる人は比較的安全になり、それ
で残置支点が問題ないようなら最後の人はバックアップを回収して下降します。
 雪上でのボラードやスノーバー、氷壁でのV字スレッドでの懸垂下降では同様のバックアップを必ず行って懸垂下降をしましょう。

 そう考えると、懸垂下降によって下山するこのルートでは、カムやナッツ類は必須でしょう。これらを携行することは安全意識の高さに比例するのかもしれません。
 最後の方は、くれぐれも回収お忘れ無く。
 懸垂下降をはじめて残り2ピッチ、V字上岩壁基部左のテラスに向かって下降する箇所。落石を起こしやすく、ロープは投げない方がよい。全体的に傾斜が緩く落石になりやすいうえ、同
ルート下降となるこの1ルンゼでは、他のパーティーと重なること自体が危険を増大させる。

 なおこの1ルンゼでは、特に人工ルートを登れば、登攀ルートそのものが水の通過する流水溝を行くことになる。全体がスラブ壁である以上、その水量と水圧は想像を絶する。
 よほど慣れたパーティでない限り、雨の予想される日には取り付くべきではないでしょう。


 取り付きに降りたら、待ってましたとばかりに、ブヨの大群に襲われる。
 駐車場で朝吹き付けてきた虫除けスプレーも、もはや効果無し。上まで持って来るべきでした!
 大慌てで片付け、転がるように岩屋まで駆け下る。沢まで来てやっと少なくなった虫に、一息つく。
 数日前はそんなことはなかったので、気温の違いなのでしょう。先日は薄いシェルを重ねても、上で風に晒されれば寒くて体が冷え切ったほどなのです。ちなみに今日は前ピッチ通して上
着無し。

 さ〜って、新しく仕入れた板も持ってきたので、明日は乗鞍で初滑り(滑り納め?)だ。


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山岳ガイド ミキヤツ登山教室は、夏山、冬山ともに国内では八ヶ岳、穂高・槍ヶ岳、剣岳、北岳、小川山、瑞牆山など、海外ではヨーロッパのシャモニ、ドロミテで山岳ガイド、登山教室、雪
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