八ヶ岳、小淵沢に住む山岳ガイド、加藤美樹・久野弘龍が、ヨーロッパ・シャモニやドロミテ、国内の雪山、冬山、バックカントリースキー、夏山、登山・クライミング教室、ガイドを行っていま
す。国際山岳ガイド連盟・日本山岳ガイド協会所属




 2007年 8月  北アルプス・無雪期 槍ヶ岳北鎌尾根         

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 帰りの表銀座から見た北鎌尾根。
 左が大槍、右が独標。
 登ったルートを眺めながら帰ることが出来るのがこのコースの魅
力。
 下山も標高の高い稜線歩きが続くので、槍沢、上高地へ下山する
よりも意外に楽で、時間も7時間ほどと、それほど代わりありません
 
 
 
 北鎌尾根に取り付くには、湯俣から天上沢を行くルートと、大天井岳付近から貧乏沢を下降して取り付くルートの二つがある。
 北鎌尾根の初登攀は、これら別のルートから同じ日に成された。湯俣からのルートは小説にも出てきたりして、こちらが正当だという意見もあるが、実はどちらも正統派なのである。

 今回は貧乏沢からのルート。
 小屋泊まりで、軽装で行けることを利用し、3日間の長い縦走を計画した。

1日目:中房温泉〜燕山荘〜大天井ヒュッテ
2日目:大天井ヒュッテ〜貧乏沢〜北鎌尾根・槍ヶ岳
3日目:東鎌尾根〜表銀座〜中房温泉
 
 軽装を活かした今日的な登山が行えるだけでなく、登山口に置いた車に戻れるという利点、さらに、登った北鎌尾根を見ながら雲上のハイキングまでできるという、なかなか充実した山行となった。

 今回の参加者はパワー系のヨガによって、昨年から14キロも痩せたKさんと、おそらく歴代のお客様の中でもトップクラスの体力を持ったTさん。



 2日目のスタートは朝4時。
 貧乏沢を下降している途中で夜明けを迎え、北鎌沢を登るときには既にかなり気温が上がっている。
 
 北鎌尾根の核心部は独標から槍ヶ岳の間だといわれますが、岩稜帯などのクライミングになれていて、ロープワークが自在なパーティにはそれほど難しくはありません。
 それよりも、この北鎌沢の最後のツメの方がよっぽど危険度が大きいので、迷わずロープを使います。

 Kさんはヨガで14`痩せました。
 おかげで?、半年ぶりの本格的登山でもハイパフォーマンスを発揮しました。
 これまでの負荷が大きく、よいトレーニングになっていたのでしょう。

※他の方はきちんとトレーニング山行をして、半年ぶりの登山なんてのはやめて、真似はしないでください。



 北鎌尾根稜線に出てからは天狗の腰掛けを経由して、独標トラバースまでは木登りも多く、ちょっとホコリっぽくてイメージする北鎌尾根とはちょっと違います。
 しかし、なめてかかると意外に悪いので注意して進みます。当然ロープは付けたままです。
 天狗の腰掛けと独標の間で要ルートファインディングな処があります。踏み跡を捜すのではなく、前のピークから先のピークを観察し、ルートを決定しましょう。
 ルートは概ね稜線通しか右側をちょっとだけ巻くだけです。主稜線から大きく外れたり、独標以外の場所でトラバースが長く続いた場合には間違いであることが多いので要注意です。









 独標ピークの先への岩登り
 この辺りではすでに気温もかなり上昇していて、持ってきた2リット
ル以上の水はどんどん消費されていきました。
 独標はトラバースしてから独標の頂稜をめがけて岩場を登ります。

 独標のトラバースの始まりは、顕著な踏み跡よりももう一歩上から始まります。要注意箇所です。頼り無げなフィックスロープが目印です。
 トラバースに入ったら、そのまま踏み跡をたどり続けるのではなく、どこから稜線に復帰するかをよく観察しながら行動しましょう。
 目安は岩を大きく抱えて、更に岩場をトラバースし、急なバンドの下降にはいる手前で独標頂上を目指して登るか、急なバンドを下降してすぐに岩稜を、独標のちょっと先を目指して登るか、どちらかが良いでしょう。
 後者は独標頂上から外れますが、岩登りが楽しめてオススメです。

 この辺りからトラバース道が多く出てきますが、この独標トラバース以外はオススメできません。辞めた方がよいでしょう。
 また、この独標トラバースも行きすぎると危険箇所に突入し、はまります。
 


 独標から先はルートファインディングが速い通過のためのカギとなります。
 全てのピークがこの限りではありませんが、基本的には登りは稜線伝いで、下降は右側を巻くようにして下降します。前のピークから先のピークを観察してどこを登るか決めておくと間違いがありません。

 独標から先のP12付近、二つの白っぽいピークはかなり脆くなっているので注意が必要ですが、それでもほとんどダイレクトに登ります。

 北鎌平手前のピークではもうダイレクトに登るのも嫌になって、トラバース道への誘惑が大きくなってきますが、それでもがんばってダイレクトに行きます。トラバースは意外に時間がかかります。
 北鎌平手前のいくつかのピークはちょっと急傾斜に見えて、ダイレクトに登るのは難しそうでも取り付くと意外に簡単に行けます。





 大槍の登りは槍の左側から登るようにして、最後は真ん中を登ります。
 ここには昔はもう少し長かったという、大槍のチムニーの残骸が残っています。10年ほど前の穂高の群発地震で崩れたそうです。

 槍ヶ岳の頂上には多くのギャラリーがいるので、彼らに見えないところで汗をしっかりと拭いて、涼しい顔をして登りましょう。

 ヨガパワー、恐るべしです。
 Kさん、半年ぶりの登山でした。

 水不足、高温は体に大きな負担がかかります。
 Tさん、独標を越えた辺りで水が無くなり、4時間も水無しで、かなり辛そうでした。「僕の水を・・・」と言っても、がんばって槍ヶ岳を目指しました。
 今回の2日目の行動は12時間。
 ちなみに、その3日後、もう少し涼しい日に登ったら8時間でした。


 3日目の帰りは、東鎌尾根。
 標高が高い所での縦走で、体が疲れてはいますが、快適に歩くことが出来ます。やはり風が抜けるからでしょう。
 ヒュッテ大槍から中房温泉までは7時間ほど。北鎌尾根を登れる人ならこれぐらいのタイムで行けるでしょう。

 槍沢から上高地へ下山しても同じぐらいの時間が掛かります。この下山は意外にオススメなのです。


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山岳ガイド ミキヤツ登山教室は、夏山、冬山ともに国内では八ヶ岳、穂高・槍ヶ岳、剣岳、北岳、小川山、瑞牆山など、海外ではヨーロッパのシャモニ、ドロミテで山岳ガイド、登山教室、雪
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