八ヶ岳、小淵沢に住む山岳ガイド、加藤美樹・久野弘龍が、ヨーロッパ・シャモニやドロミテ、国内の雪山、冬山、バックカントリースキー、夏山、登山・クライミング教室、ガイドを行っていま
す。

 アンデス&ヨセミテ 2007       

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 ヨセミテ2007年5月・クライミング情報

 毎年海外に出かけるようにしているが、今回も目的はペルーアンデス。
 しかし、日付変更のできる航空券を探していると、パナマのコパ航空のチケットが最も安かった。経由はロサンゼルス、パナマの経由で、途中降機は無料だ。そしてロサンゼルスといえ
ば、ヨセミテにも行くことができる。そんな理由で今年は「アンデス&ヨセミテ」の旅を計画した。以下は2007年5月現在のヨセミテ情報です。夏に行く計画のある方の参考になればと、まと
めてみました。


 ヨセミテ

 今回、私達は初めてのヨセミテにいきました。
 日本ではヨセミテ・クライミング天国のように言われることが多かったのですが、ちょっとその意見とは別の角度から見た感想が含まれています。私達の場合は同じクライミングでも、ヨーロ
ッパのキャンプ場を利用することが多く、どうしてもその辺りとの比較対照になるからです。

 サニーサイドキャンプ場(キャンプ4)での滞在期限は7日間

 ということで、雑誌にあった「期限が切れたらまた並ぶ」に従って、朝から交代で2時間並ぶ。
 だがしかし、前の受付の時に「1週間が来たらNEVERで戻って来るな」と管理局の姉ちゃんが言っていた気がしたので「?」と思っていったら、やっぱり断られた。
 みんなただ単に受付の係をメンバー内で順番に変えつつ、あの手この手で長期滞在しているらしい。
 私達の場合、あとはせいぜい一日か二日ではあったけれど、何たって車はホテル台並みに高いレンタルなのだし、帰れったってこちらも言われたとおりに帰るわけには行かない。
 そこでダメもと。今度は私が1時間並び直し受付けしたら、おばさんはにこやかにカードを出してくれた(何だかいい加減なチェックだが・・)。

 ちなみに、ヨセミテ国立公園には最長1週間入ることができ、1年間に2週間しかいられません。
これをクリアするには、よくわからないのですが、たぶんゲートを通らなければいいのでしょう。あるいは人がいないときに通るとか・・・。
さて、みなさん、どうしているのでしょうか? 
 
 計画・レンタカー

 ここでヨセミテにリーズナブルに出掛けたいのなら、ヨセミテ現地滞在は10日辺りの半端な日数を避けたいもの。1週間、もしくはきっちり2週間は取ることをお勧めしたい。キャンプ場は大
変だし、車も1週間を超えると一気に高額に跳ね上がる。2週間でも大差はないくらいなのだ。車種はアメ車だと燃費が悪い上、使い勝手も良くない。荷物が多くても、治安の悪いロス近郊
に駐車するのでなければ、小型の日本車で十分だろう。
 だいたい、ヨセミテバレーの中に駐車してある車の中は荷物が丸見えで、あれを見れば、バレー内であれば大丈夫だと思います。

 レンタカーは保険と税金により、ルノーやプジョーなどの予約システムで安くなるヨーロッパよりも、アメリカの方が高額だ。
 ちなみに、今回は保険、税金など込みで11日間850ドル。
 これはワールドパークスでの割引を利用して、ミドルクラスを借りての値段なので、かなり高いといわざるを得ない。

 保険を掛けなければかなり割安だが、これは危険極まりない。いくら自らが気をつけても、米国内ではドラッグや飲酒運転が横行し事故に巻き込まれる率が高く、更にはヨセミテ内だと熊
に原形をとどめないまでに車が破壊されることだってある。
 
 長期ならば当たりはずれはあるが、レンタカーではなく、いっそ買ってしまった方が良いだろう(私は昔、カナダ滞在時に車を持っていた。オンボロフォードだったが、北米一周2万キロを走
ってくれた)。

 あるいは、クレジットカードの種類や自動車保険会社で海外レンタカーでも効く保険というのがあるかもしれないので、それを利用するのも良いかもしれない。
 (僕のカードではダメでした。ゴールドカードに引き上げてもダメなようです。)

 ヨセミテ内は一方通行が多く、慣れないうちはグルグル長い距離を走り燃料を無駄に消費しがちだ。スタンドのあるウァオナは遠く、余裕を持った燃料計画を心がけておきたい。

 そして買い物はフレズノの前後で(町中は広すぎてスーパーが探しきれない)。オークハウストまで入ってしまうと、宿も物価もヨセミテ内とそう替わらない値に跳ね上がる。



 虫除けスプレーや蚊取り線香はこの時期必需品

 6月は蚊が多いとは聞いていましたが、そのすごさにビックリ。蚊柱が立っています。
 服の上からでも刺すし、一端刺したら、腕を振っても離れません。
 虫除けスプレーも売っていますが、汗で流れてしまうので、頻繁に塗らないといけないのと、塗り忘れたところを蚊が狙ってきます。

 意外に有効だったのが、ダブル蚊取り線香。
 ただ、蚊取り線香の先端と後端の両方に火をつけて、煙の量を増やすのです。
 外で使うので、置いておくだけでは効き目がないかなと思ったのですが、ビレイ中に足下に置いておくと意外に蚊が近寄ってきません。
 ただ、バレー内はとても乾燥しているので、蚊取り線香の携帯ケースは必ず必要です。






 ネット環境は×

 ヨセミテ・ロッジのフロントデスクに居るのが若い人なら、気軽にアクセス・コードの紙が貰えて無線ラン出来ますが、責任者系の人であれば宿泊客以外は断られます。


 花粉症の人も要注意

 セコイヤか松?何かの黄色い花粉が、公園いっぱいに飛散しています(ちなみに南仏も、この時期は凄まじい花粉の嵐です)。
 私は日本だと杉ではなく檜あたりで症状が出るようですが、クシャミが出始めると連発で少々辛かったです。


ヨセミテフォールの両側にもサニーサイドなどのエリアがある。滝の吹き上げでサニーサイドは比較的涼しい。


 キャンプ場など生活環境は△

 キャンプ場の設備事情や食事事情は、ドロミテなどのヨーロッパに比べれば劣悪と言わざる得ない。
 とにかくマナーが悪く、トイレの使い方など酷すぎる(キャンプ4だからなのか?)。

 また、ヨーロッパのキャンプ場だと基本的に備わっている、食器の洗い場や洗濯場も無く、コインランドリーとシャワーは離れていて車が無いと辛い。
 週末にはキャンプ場のそばを、夜間でもひっきりなしに車が往来し、クライマーは一般的にロングルートに行かなければ、夜も朝も遅いので深夜まで騒がしいことこの上ない。

 そして、何より注意が必要なのは動物だ。テント場でも食事時の各サイトでは、リスとの攻防戦が繰り広げられ、マルチを登るにも出来れば行動食は持って歩きたい。
 熊は普通に出会うので、やっぱり取り付きにデポするには注意が必要となる。


 フードコンテナは鉄板製で、熱伝導が良く、生鮮品は腐りやすい
 牛乳など、翌日にはヨーグルト化していたりする


 しかし、そうはいっても日本のキャンプ場や岩場、例えば小川山と比べても、遙かに良い環境だし、岩に囲まれたこの雰囲気は誰もが認めるワールドクラスだろう。


 アメリカの物価

 アメリカ・西海岸といえば、物価など割安なのかと思っていたが、実際には日本とはほとんどかわらない。日本でも大規模なディスカウントショップが出現したことが原因だろう。
 また、ユーロ高であるヨーロッパと比べても、レンタカーのことを考えれば一緒だ。アメリカ・ヨセミテが割安だというのは、もう過去のことなのかもしれない。



 食生活

 バリバリでない、我々「リゾートクライマー」にとっては、現地での食生活というのは重要な項目だ。
 今回ヨセミテ行きを周りに話したところ、リゾートクライマーの大御所に、
 「ヨセミテは良いところだが、食生活が悪く、耐えられないよ」
 という言葉を頂いた。

 バレー内にはスーパーもあり、食品も含めて一通りの生活用品は手にはいる。そういう点ではとても便利だ。
 しかし、市価の2〜3倍する食品を買うには、ビレッジのスーパーで長蛇の列に並ぶ羽目になるし、夕方行けば生鮮食品は何も残ってはいない。
 
 また、もともと食文化の貧弱なアメリカという国では、心そそられるような食材は手に入らない。また、手に入ったとしてもキャンプ場の動物を気にしてはまともな食生活をは期待できない。



 ルートについて 

 リーズピナクル、クッキークリフ、アーチロックなどのショートルートは、5月中旬でも暑すぎて朝と夕方以外はかなり辛いものがあります。サマータイムを利用して、朝登って、昼寝して、ま
た夕方登るような方法が有効です。
 マルチピッチルートはかなり快適ですが、この時期は風があると寒く感じます。
 また、セレニティクラックやミドルカシードラル・イーストバットレスなど比較的簡単な有名どころでは、かなり順番待ちになるので、朝イチか、逆に遅くに行くことをお勧めします。

マルチ・ピッチに行く際にも、食べ物は取り付きにデポしないこと。人気ルートの取り付きにはフードロッカーが設置してあったりするが、決して取り付きに放置はしないこと。ザックの中でも安
心は出来ません。リスにはザックを破られるし、熊にはザックごと奪われます・・・。
 


 装備

 今回、特に重宝したのが「キャメロットC3」
 「マイクロカム」といえば、エイリアンというイメージがあり、実際僕も使っていましたが、今回C3を使ってみてビックリ。その安定感と使いやすさはエイリアンの遙かに上でした。

 まず、エイリアンよりもコンパクトなため、かなり細いクラックにも使えます。当然、ピトンスカーにもかなり有効です。
 また、エイリアンは適正の幅のクラックで使わないと、カムがひっくり返ることがあります(実際僕はそれで二つ連続で抜けたことがあります)が、C3はナッツや従来のキャメロットのように
ボトミングしても大丈夫なのでその点でもかなり使い勝手がよいです。
 従来、ナッツ等のチョック類でプロテクションを取っていたところでもこれで簡単にとれてしまいます。

 装備はそれぞれ2セット以上はあった方がよいでしょう。
 ランナウトで解決できる人は少なくても良いかもしれませんが、僕らのように初めてのヨセミテで、特にクラックに慣れていないのであれば3セットは欲しくなってしまいます。

 サイズはキャメロットであればC3〜C4の#4までは必ず欲しいところです。できれば#5もあれば最強でしょう。あるいはカム2セット+他はトライカムなどでも良いかもしれません。
 少なくとも装備が足りなくて登るルートが限られてしまうのはとっても悲しいものです。

 装備はヨセミテバレー内の登山道具屋で買うこともできます。
 値段は日本の店で買うよりも若干安いようです。C3で8千円ぐらいだったと思います。
 トライカムやヘキセントリックは売っていませんでした。よくわからないカム類はもうちょっと安く売っています。

 

 まとめ

 私達の個人的な感想からすれば、ヨセミテは確かに他に類を見ないエリアではある。クライミング自体は確かに面白い。
 しかし、この箱庭の中だとそれ以外には楽しみが乏しく、ヨーロッパでミックスクライミングを楽しみ、気が向いたらクラックやボルトルートにも出掛け、余暇は街を歩いたり食事を楽しむ、な
どといった自由な感覚に欠けているような気がする。
 むしろ、クライミングが義務的になってしまいがちだ。
 そういう意味では、気のあった仲間と騒ぎながら技術を磨いていくような、クライミング合宿所としては最適だろう。

 あるいは、ビッグウォールまで手を出せば変化があって良いのかもしれないが、そうなると待機の時間が長くなってしまいそう。
 友人が、「アメリカの岩場は旅をしながら回ると楽しい」といっていたが、ヨセミテもそんな旅の途中で立ち寄るようにすればもっと楽しいのだろう。

 ヨセミテではクライミングは楽しいに決まっているのだから、それ以外の楽しみを創り出したり、見つけたりすることができればよりその価値は上がるということだろう。

 日本では室内ジムが盛んに開かれ、日本人クライマーはフェイスクライミングの方が得意とする傾向にある。だからこそ近年では、南仏辺りのスポーツルートへも日本人が出掛けるように
なったのだろう。
 しかし、ドロミテなどの石灰岩の岩壁には、まだまだ少ない。
 遠いというイメージが先行しすぎる為だろうか?
 日本人の休暇が少なすぎる故か?
 私達から見れば、得意な分野を生かし切れず勿体ない気もする。

 ヨセミテとドロミテに共通するのは、ルートや岩の性質は違えど、早い時代から登らてきたその技術水準の高さにある。技術水準が高いからこそ素晴らしいルートも数多い。

 自分で支点を作り、ルートを読むのは、自分の足で歩みつつ、その日の宿を決めていくようなもの。ヨセミテもドロミテも、そんな岩場として良いところは共通している。

 それが旅の延長であれば、何処であっても、楽しいものなのかもしれない。








 おまけ・・・ランナウトについて

 よく使う例として、「ランナウトするルートだから怖いよねー」・・・とか。
 ヨセミテに来て一番良かったと思うのはそんなランナウトについて考えさせられたこと。ランナウトするルートは少ないが、ランナウトで解決するルートは多い。
 つまり、ランナウトはさせられるのではなく、自分からするモノだ。
 それがコントロールできなければ登る資格はないということか。
 鍵は技量か蛮勇か。あるいは弱気に支配されるのかもしれない。
 人生も同じだね。


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