八ヶ岳、小淵沢に住む山岳ガイド、加藤美樹・久野弘龍が、ヨーロッパ・シャモニやドロミテ、国内の雪山、冬山、バックカントリースキー、夏山、登山・クライミング教室、ガイドを行っていま
す。

 山岳ガイド ミキヤツ登山教室の山行記録 マレーシア・キナバル登山事情       

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 キナバル山と言えば最近話題の「世界遺産」にも登録された、マレーシアのボルネオ島にある4000m峰です。
 世界遺産とは山梨県民にとっては、近年、「富士山を世界遺産に」との署名活動をしたことでなじみのある言葉ですが、今回キナバル山 を訪ねてみてこの「世界遺産」の意味というものが
少しわかったような気がしました。
 というのは、登山するためのシステムがしっかりしていること。そしてその特有の熱帯雨林と、天地創造を思わせる頂上付近の山容の素晴らしさ。まさに遺産と呼ぶにふさわしい場所でし
た。
 残念ながら我が国の富士山にはそのどちらも備わって居るようには思えません。特に前者の方は、登山する人間の意識の低さからかゴミ は多く、それらの管理や小屋の管理も決して行
き届いては居ないように思えます。富士山が世界遺産になるとなるとしたら、相当お金を動かす必要があるでしょう。当然、良い意味でも悪い意味でも・・・。


 キナバル登山のシステムを紹介


 キナバルでは事故があれば各チェックポストを通過して戻らない人が居ればすぐ解るようになっています。また、登山道もしっかりと整備されていて、歩行30分ごと休憩できるように屋根
付きのベンチとトイレが設置されています。
 登山道整備する人や案内する人からも「美しい故郷の山」がいかに愛されているかが伝わってきます。そのための費用というわけで、登山料が必要です。これは1人あたり100Rm(30
00円)ほど。行けば納得の金額です。
 登山には必ずガイドをつけないといけません。ガイド料はそれほど高くなく、80Rm(2400円ほど)です。これはガイド1人を雇用する金額で、8人までで頭割りとなります(4人以上になる
ともう少し高いですが、それでも3000円ほどです)。
 これらガイドは安全を守るというよりも、自然案内をしてくれるガイドと考えた方がよいでしょう。上述のチェックポスト通過時の確認でもガイドのグループ単位で行うので、登山システム上、
このガイドシステムは必要です。
 私達の国ではまず「世界遺産に登録を」という署名活動をするそれ以前に、こうした意識の基本からを考え直していく必要があるのではないでしょうか。

 キナバル登山で山小屋を利用する場合、前もって小屋の予約が必要です。到着してからでも日本からのHPでも可能ですが、カードでの入金となります。コタキナバルのツ−リストオフィス
へ行けばキナバル公園一帯の山小屋を管理しているオフィスを教えてくれます。

 キナバル登山公園へはコタキナバル長距離バスターミナルから約1時間半(ターミナルへは町の中心部から歩いていけます)。7時頃に出る各社のバスを、長く乗るのでしっかりチェックし
て選びます。片道15リンギット約450円。
 公園ゲートと受付で各種料金を現金で払うので現地通貨が必要です。
  


 キナバル山に登る、最も一般的なルートから行った場合、朝コタキナバルを出て、その日のうちに標高3200b付近にある山小屋に泊まり、翌日、頂上を往復して下山し、その日のうちに
コタキナバルに帰ることが出来ます。よりのんびりとした行程を望むなら、3200bの小屋でもう一泊しても良いでしょう。
 また、もっともっとキナバル山を楽しみたいという方は、公園事務所のある一般ルートではなく、マスラウルートから登ることをお勧めします。
 このルートは水平の尾根上を歩くコースで、アップダウンこそ多いですが、登り口が高いのでそれほど苦になりません。そしてこのコースは展望 がよく、さらに人が少ないためか、一般ル
ートよりも多くの花が咲いています。
 このルートはヤマケイでは下山ルートとして紹介されていましたが、登りの方が楽しいコースです。なぜなら、キナバル山は熱帯雨林帯の高山で、昼前からガスが出てきて、展望が悪くな
ってしまいます。しかし、キナバル公園入口に前泊して、翌早朝このルートから登れば、キナバル山頂の威容を眺めながらの登高となります。ちなみにお勧めの時期は9月〜11月だそうで
す。ガイドが言っていました。最も花の多い時期で、その前までの月が雨期ではないのですが、雨が多い時期だからだと思います。


 山行報告


 キナバル登山口を12時頃に歩き始め、山小屋には15時頃到着。途中、凄まじいスコールに遭い大変でした。登山道は川となり、まるで沢登り状態。他の登山者も大変そうでしたが、し
かし日本人登山者には素晴らしい雨具があるため、かなり助けられました。
  
 はっきり言って宣伝で、またまた「パタゴニア」なんですが、ここの雨具は絶品です。まず何が良いって、フードの作りが素晴らしい。これまで使っていた某メーカーの雨具は襟の途中からフ
ードが生えているために、フードから水が垂れて中に入ってしまいます。しかし、パタゴニアのモノは襟がそのまま伸びるようにフードになっているために水が滴って襟元から中に入ることが
ありません。また、透湿性もゴアテックス以上?なのか、ほとんど蒸れはありませんでした。

 なぜこんな事を書くのか。なんでもキナバル山は非常に雨が多いそうです。時期にもよりますがほとんどと言っていいほど午後に雨が降るそうです。
 キナバル山は4000メートルを超える高峰ですが、その位置が低緯度のためかそれほど空気の薄さを感じません。また、山の技術的難度も北アルプス程度なので、その高度の割には比
較的登りやすい山です。しかし、雨が多いために体調管理が問題となることが多く、前述の良い雨具などが登山の決め手となるかも知れません。
 

 山小屋は温水シャワーもあり、暖房もあってかなり快適です。食事は山小屋の料金とは別料金で、夜、朝と食べて40Rm(1200円)ほど。ビュッフェ形式なので、腹一杯食べられます。
当然コーヒーお茶も飲み放題です。

 翌日の出発は2時の予定だが、貧乏性の僕らは朝ご飯を料金以上に食べないと気が済まないので、出発は3時とする。ガイドも小屋のテレビでサッカーを見ていて、「もう少し待ってくれ」
と言う。なかなかお気楽なガイドだ。
 あとで地元のチームなのかと聞くと、
「イヤ、知らない」
「何処の国のチームかも知らない」 
「サッカーもほとんど見たことがない」というではないか・・・。

  
 小屋を3時に全ての登山者の最後に出発する。当然ヘッドランプをつけての行動となるが、小屋を出てビックリ。富士山渋滞ならぬ、キナバル渋滞であった。
 ヤマケイの連載マンガ、「でこでこてっぺん」で見てからは、一度は富士山渋滞を経験してみたいモノだと思っていたが、やっぱりやめにしておこうと思った。このまま渋滞の中にいるのは
辛い。
 そんなわけで、日本の登山者を代表するつもりで?素晴らしいスピードで抜いていくことにした。当然、他の人に迷惑を掛けたり、登山道を逸れて草木を傷めたりすることもしていません。
また、後から無言のプレッシャーを与えることも断じてしていません。
 さて、そんなわけでどんどん抜いていくと、渋滞の原因に追いつきました。その渋滞の原因とは日本の登山者集団でした。
 慣れない夜間からの行動なので仕方がない面もありますが、事前に日本で夜間の行動に慣れておいた方がよいでしょう。

 登山道は最初は低い木の生えているところを行きますが、次第に岩の上を行くようになります。明るければそれほど難しくもないところですが、ヘッドランプをつけて真っ暗な中、鎖場を行く
のは慣れていないと怖いモノです。キナバル山にはいろいろな国の人が登山に来ていますが、やはり全ての人が山慣れた人ではないので、そんな場所では動けなくなっている人もいま
す。仕事柄、そんな人達を見過ごすことは出来ないので、足場を教えてあげたり、岩場の下に回ってあげて、確保してあげたり、さらには手を引いてあげたり。そんなことをしながらどんどん
進むと頂上が近づいてきて、まわりにはほとんど人がいなくなってしまいました。我らがガイドも気がつくといなくなっていました。
 
 登山道はキナバル山の有名な岩の台地(氷河の痕?)を行きますが、ここは広い場所で、視界の悪い時は注意が必要です。ただ、登山道にはロープがずっと引いてあり、それさえ外れな
ければ問題なしです。
 頂上に近づくにつれて、岩稜を進むようになります。登りやすいところを選びながら行けばいいのですが、登山道を示すロープからは離れすぎないように注意が必要です。

 「頂上一番のり!」だと思ったら、一足違いで他国のガイドらしい人が一番のりを果たしていたようでした。彼はそこが頂上だとは気づいていないようで、先のルートを探しているところでし
た。小屋でお客らしいご婦人といたのですが、頂上付近では、その方が居ません。どうしたのかと思ったら、後からやってきました。

 下山は往路を戻りますが、その頃には明るくなっているので、好きな場所を歩けばよいでしょう(ただし、現地ガイドと相談の上で)。登りでは真っ暗でどんな景色かわからなかったところ
も、明るくなってビックリ。素晴らしい!
 

 小屋まで戻って、そのまま登山口まで下山しました。登山口には11時頃に到着し、道路でバスをつかまえてコタキナバルに帰りました。
 しかし、このバス、途中で故障したらしく、なかなか進みません。しかも途中から運転手が整備士に変わってしまい、酷い運転で、縁石に乗り上げるは急ブレーキ、ハンドルで、凄かった。
元々の運転手もかなり飛ばし屋で、マレーシア人の車好きが解ります。

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