八ヶ岳、小淵沢に住む山岳ガイド、加藤美樹・久野弘龍が、ヨーロッパ・シャモニやドロミテ、国内の雪山、冬山、バックカントリースキー、夏山、登山・クライミング教室、ガイドを行っていま
す。国際山岳ガイド連盟・日本山岳ガイド協会所属

 2005年11月  クライミング 御在所岳岩登り講習        

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1月6日(土)〜7日(日)久々でホームグランド鈴鹿に行きました。私も久野も、愛知の山岳会出身なので、御在所は懐かしい岩場です。白く輝く花崗岩は、結晶が荒いためフリクションが
よく利くので、慣れればとても快適な登ハンが楽しめます。↓一壁に向かう


 日向小屋に余分の荷物を置いて裏道を登り、やがて藤内沢出合で一般登山者の人達と別れます。沢を詰めていくと、正面には中尾根バットレスの大スラブが迫ってきます。
 この日は一壁に行く予定でしたが、テスト岩での徹底的な練習となりました。高く長いルートに行くと萎縮してしまいがちですが、この高さなら皆大胆な動きが出来て、結果的には早く上
達しました。ガイドの目線にも近いので、きめ細やかな指導が可能になります。

   

 まずは基本の、左右への体重移動をマスターします。例えば右足をただ上げただけでは、上には登れません。右足に完全に体重を移しきらない限り、次の行動、左足を動かすという行為
が行えないからです。岩登りとは平たく言えばこの繰り返しです。
 岩登りというと、腕の力が必要な気がしますが、重要なのはこの重心移動です。
 そしてまた、この左右への体重移動がスムーズに行えるようになると、ただ登山道を歩くという行為も同時に上達し、安全になります。
 

 登っていない時間も有効に使いましょう。いきなり高いところへ登る人のビレイ(確保)をするのは、する人も、またされる人も怖いものです。まずはトップロープ(支点を折り返したロープに、
上から確保されて登る)のビレイをして、ロープ操作の基本を学びましょう。ロープの繰り出しの速さ、どれだけ出したら良いかなどは、実際に操作しないと身に付きません。正しくビレイが出
来ないと、相手も自分も危険なことにな かねません。
 また、ビレイは前尾根などのマルチピッチを登るのには、必須の技術です。マルチピッチとはゲレンデのように1本登ったら終わりなのではなく、何ピッチものルートを繋げて行く登り方を言
います。
  

 次は下降の練習です。
 岩場を下降するには二通りあります。左の写真のようにロープを使って懸垂下降をする場合と、右の写真のように自分の足で降りる、クライムダウンする方法です。
 懸垂下降はやってみると簡単な技術ですが、登山の技術の中でも最も危険度の高いものです。難易度と危険度が、対照的な技術でしょう。
 クライムダウンは実際の登山ではよくあるものです。縦走路中の岩場の下降です。ここでのポイントは登りと同様、重心移動です。左足を降ろす時、右足だけで体を支えないと、左足を動
かすことが出来ません。また、重心を低くしないと、左足は下の方へはとどきません。よく 「足が短いから下にとどかない!」という方がいますが、だいたいは、重心を下げていないからで
す。写真のように、左足にしっかりと立って、更にその左足を曲げないと、右足は下にはとどきません。
 
 今回はクライミングシューズだけでなく、登山靴を履いても以上のことを行いました。参加された方の多くがクライミング自体を楽しむよりも実際の登山で岩登りの技術を活かしたいという希
望があったためです。
 岩登りというと登山上級者の世界のような気がしますが、実際には登山初心者にこそ行って欲しいものです。なぜなら、ただ登山道を歩くだけでは、ただ歩く経験を重ねるだけでは、体の
動かし方や危険に対する意識の向上はないからです。 
 ロープを使って安全を確保し、クライミングシューズを使って足が滑らないようにしてこそ、思い切った動きをすることが出来ます。自分の技術の限界を安全に確認することができ、それに対
処することが出来ます。ただ歩くだけでは上達出来ません。

 2日目は御在所岳を代表するルートのひとつ、前尾根を登攀しました。岩登りをしながら頂上を目指すものです。
 ピッチ数、6ピッチほど。北岳バットレス以上の爽快ルートです。でも、ちょっと難しいです。岩登りの練習をしっかりとしておかないと簡単には登れません。写真を取り忘れてしまったので、
その楽しさがお伝えできず残念です。冬は更に難しくなりますが、その分面白さも倍増するルートになります。


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山岳ガイド ミキヤツ登山教室は、夏山、冬山ともに国内では八ヶ岳、穂高・槍ヶ岳、剣岳、北岳、小川山、瑞牆山など、海外ではヨーロッパのシャモニ、ドロミテで山岳ガイド、登山教室、雪
山教室、クライミング教室を行っています