八ヶ岳、小淵沢に住む山岳ガイド、加藤美樹・久野弘龍が、ヨーロッパ・シャモニやドロミテ、国内の雪山、冬山、バックカントリースキー、夏山、登山・クライミング教室、ガイドを行っていま
す。

 2009年 9月他 南アルプス・無雪期 北岳バットレス第4尾根        

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日時: 2009/09/06

なかなか格好いいムーブで登ってくるNさんです

普通の週末だというのに、天候不順が続いたあとの晴天とあってか、予約の時点で混雑していると告げられていたこの日。
登り最終のバスは満席+立ち席もあり。

この13時のバスで周囲にいたご年配のグループも、いざバスを降りてみればヘルメット持ちだった。

これはマズいぞ。御池小屋だって満員御礼だってのに。
一般道以外にもバットレスに入る人数が多いのは必至だ。

「昨日の朝は平日の3時出発でさえ、一番乗りだったけれど、後ろには後続が一杯居たよ」
という、明日は下山のMガイドから得た情報により、明日も多くは3時出発だと踏む。

「じゃ、うちは2時半出発で」
これ以上早く出たって、下部岩壁に5時前に到着してはまだ真っ暗なのだから。

寝静まる小屋から夜道を歩くが、後続の灯りはみられない。
バットレス沢分岐あたりで二股に降りる灯りがようやく見えた。これだけ離れていれば充分だろう。

下部岩壁取り付きで追い付いてきたのも、やはりガイド登山。
と、その後ろにも一杯居て、10人前後の人々で取り付きはたちまち一杯になった。

 
後ろからの追い上げも凄い!まずは手足を動かして!Yさん?

幸い他のガリーからの取り付きは無かったようで、4尾根にも一番乗り。
一番乗りはいいけれど今度は追われる立場だけに余り休めず、次々とピッチをこなして行かねばならない。
今回の北岳4尾根は「靴が小さい!足が痛い!」だのと、手足よりはもっぱら口を動かすのに忙しいYさんと、寡黙ながら小柄な体で軽やかに登ってくるNさんとは、かなり対照的な組み合
わせである。


こんなシングルロープ1本の登り方は危険です

さて前後して登ったガイド登山はガイドが1人なのに、何故かお客様は4人。
手伝いの山の仲間?がお客1人を繋いで、他はシングルロープ一本に3人を繋げて登るという、なかなか危険な登り方。

これは登攀のルートでは有り得ない登り方だし、縦走などのショートロープでしか行わない繋ぎ方です(理論上、安全を確保できるのは1本のロープに2人で、クライミングなどでリード、フォ
ローで登る場合には、トラブル時の対応を考えるとロープ一本で一人、2本のロープ使用で二人までが、クライミング界の常識的な定員となります。(ですから、ショートロープやマルチピッチ
クライミングでは、たとえ優秀なガイドであっても3人以上で登るのは論外です)。

フォローする3人全員が、確保地点から常に縦位置に真っ直ぐ並ばなければ、落ちた時に振られてお互いがぶつかり合って怪我をしかねない。つまり落ちてはいけません。銘々に好きなコ
ース取りをしてもいけません。

仮に中の1人が途中で登れなくなっても、ロープが一本である以上は、全員が立ち往生してしまう可能性だって大いに含まれるのです。

登攀でのフォローは、ロープ1本に1人を繋ぐことが原則です。そうでなければ登る方だって気疲ればかりで楽しめなくなってしまいます。仮にその危険を知らなかったとしても、安全のため
に雇うガイドが、それで起こりうる危険を伝えないのは、お客様に対する裏切り行為なのではないでしょうか?

まして中のお客様1人は、うちの常連様でもある大切な方です。
どうか、怪我だけはさせないよう、安全に配慮して頂きたいものです。

 
ホソバイワベンケイ(この時期、雌株は子房が受粉すると紅に染まり美しい)  オニシモツケ(秋の終わりを告げる花火のよう)

さて、どうにか10時半には山頂に抜け、最大の難関である下山です。
新潟に新幹線で戻るNさんだけを先に返して、Yさんと二人で下るが、病み上がり(の割には口達者)のYさんは登攀で力尽きた模様。
「4時の終バスには微妙ですよねぇ」4尾根の後続に居たパーティーの男性が追い抜いていく。
テントを背負った若者や年配の人も、どんどんと追い抜いていく。

どう頑張っても4時には着きそうになかったので、休みを入れながら広河原に着いたのが4時半。
5時最終の乗り合いタクシーは、行きと同じく席無しの人まで居て、「終バスが日も暮れない4時とは、チョット無いんじゃないかナ」と思うけど、経営が苦しいのだろうか。

最後にYさんの弁護を・・・。
初めて会ったのは、数年前、本当に病み上がりでここまでよく頑張ってこられました。
私たちも怪我、病気はしたとしてもここまでできるかどうか解りません。
でも、まだ次が、目標があります。
もう少し頑張って、そして口より体を動かしてください。(つまりは口が動くだけの余裕があるって事なんですけれどね)

せっかく密トレしてるんですからね。(あ、自分で喋ってるんだから「密トレ」とは言わないか!?)




2002年7月29日〜30日
 
 
 7月29日、広河原で高橋さんと合流。高橋さんは登攀後、農鳥岳へ縦走するため、荷物が少し多い。登攀中は久野が背負うものを受け取る。
 白根御池小屋までは高橋さんのすごいペースで、一気に到着する。白根御池小屋は今日はさほど込んではおらず布団を一人一枚で寝ることができた。でも、夕食のカレーライスだけとい
うのは僕も高橋さんも少し足りない。せめてご飯だけでもお代わりをさせてほしい。
 7月30日、平日で、しかも高橋さんとは稜線で解散のため急ぐ必要がないということで朝食をとってから出発する。いつもは朝食は弁当とし4時には出発するが、今日は5時頃か。
 前日の高橋さんのすごいペースでは少し早すぎるので今日はゆっくりとアプローチする。
 下部岩壁はbがリー大滝からのぼる。高橋さんはクライミングシューズを履いての本格的な登攀は初めてであったが、問題なく登ってくる。岩は雪崩でしっかり磨かれていてとても硬い。
 緩傾斜帯もロープを着けて行動し、第4尾根取り付きに向かう。取り付きまでは2ピッチほど確保して登る。
 明確な凹角、グレードはV+からスタート。しかし、ここの登りが全ルートを通じての核心部といえる。クラック(岩の割れ目)を利用し、思い切った動作で登る必要がある。シューズはクライ
ミングシューズを使用しているので足は滑りにくいので、それを信じて。
 2ピッチ目、3ピッチ目はそれほど難しくはない。傾斜もそれほどきつくはないし、ホールド、スタンスともに沢山ある。慎重に登れば問題なし。
  4ピッチ目からはリッジ通しのクライミング(馬の背状に左右が切れ落ちている)になり、高度感もかなりのものだ。
   

 5ピッチ目(写真左)、一般的にはここが核心部といわれるが、確かにホールドスタンスともに小さい。
 登攀で大事なことは自分の力を信じて、そして、確保している相手を信じて登ること。両方を信じることができなければ自分の力の半分すら出すことができない。クライミングは力のスポー
ツではなく、心のスポーツである。
 ここは思い切って登ろう。
 ここを越えればマッチ箱の登攀である。リッジ通しのすばらしいクライミング(写真中)で、高度感、バットレスの中心部という雰囲気は抜群である。
 高橋さんは昔は谷川岳の岩を登ったそうだが、流石に疲れが出てきた。しかし、登りは安定している。
 マッチ箱からは懸垂下降。
 下降後は2ピッチの登り返し(写真右)。
 枯れ木のテラスに出てもう1ピッチで登攀は終了。
 ここからもザイルは結んだままで慎重に頂上を目指すが、人があまり入らないだけあって、すばらしいお花畑が広がっている。いつもは気にもとめない人も、バットレスを登ったあとならほっ
として、きっとそのすばらしさに気づくだろう。
 頂上へはおよそ15分ぐらい。
 頂上では多くの登山者が拍手で迎えてくれる。やはりこういうのがあってこそクライミングは楽しい。(ホントにうれしくなりますよ)
 頂上で休憩後、高橋さんと少し降って、高橋さんは北岳山荘へ、僕は下山した。

 今回のクライミングは高橋さんが久しぶりということもあり、難しい所では手がかりとなるスリング(ひも)を着けて、それを使って登って貰った。これを使えば、第4尾根なら初めて岩を登る
人でも登れると思う。もちろん、使わなくてもすむ人は使わずに自分の手と足だけで登ればかまわないでしょう。
 とにかく、北岳のバットレスということで構えないで、気楽に、雲の上のハイキングを楽しむつもりで参加してみてください。ロープを使って確保しているので、考えるよりもかなり安全です。
 ちょっと冒険しましょう。今、これほどの安全な冒険はないでしょ。

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山岳ガイド ミキヤツ登山教室は、夏山、冬山ともに国内では八ヶ岳、穂高・槍ヶ岳、剣岳、北岳、小川山、瑞牆山など、海外ではヨーロッパのシャモニ、ドロミテで山岳ガイド、登山教室、雪
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