赤岳の次のステップをお考えの方にオススメです。
ご自身で硫黄岳や天狗岳程度では問題なく歩けても、赤岳ぐらいの登山でトレースが無くなると不安になったり、岩場や傾斜が強くなると不安定さが増す方には今回のコースがお勧めです。
今回のような趣旨で講習を行うコースは二つありますが、2日目のルートの方向性(趣向)が微妙に違うので参考にしてください。
・・・登攀要素はそれほど高くないが、本格的な雪山技術と稜線縦走での対策を身につける事を目的としています。
・・・雪山での簡単な登攀が含まれ、本格的な雪山技術とバリエーションルートを登るのに必要な技術を知ることを目的としています。
赤岳よりもさらに登頂者の少ない阿弥陀岳、更にそのバリエーションルートである北稜は、岩場、傾斜のある斜面、雪稜、そして急傾斜の下降。雪山に必要な技術が一つにまとまった好ルート。
雪山の技術的ステップアップを目指すには大同心稜と並んで最適です。
そんな阿弥陀岳北稜に登る事はガイド登山であればそれほど(赤岳の次のステップとして)難しい事ではありませんが、この経験を確実にステップUPの経験とするには、1日目の練習が重要です。
しっかりと練習して技術、知識を身につけたら、早い段階で実践し効果を実感する。
登山を含めてどんなスポーツでも、講習会に参加するだけでは技術は身に着きません。
練習と実践(実感と反省)を繰り返すことが必要です。
現場でも登りながら説明、アドバイスしながら登るので、効果は大きいと思います。
1日目は氷の斜面を利用してアイゼンの練習をします。
既に赤岳の講習に来られた方にはお馴染みですが、何度行っても無駄にはなりませんが、スリーオクロックを中心に行います。
スリーオクロックは傾斜が強くなったり、足場が不安定になるほど使われる技術です。ステップUPを目指すには、より精度を高めて行える必要があります。
このためには、何度も復習する必要があります。
また、今回のコースは積極的にアックス(ピッケル)を使うことになります。
ですからアイゼンの練習だけでなく、これらの使い方もしっかりと練習します。
赤岳のコースに比べて積極的に登る技術を身に付けるため、これらは必然的にアイスクライミングに近い練習となります。
前爪を積極的に使い、アックスをしっかりとした支点として登ります。
アイゼンの使い方は既に赤岳で行っており、アックスを支点とすること自体、実はそれほど難しくはありません。
しかし、支点としたアックスを積極的に使って行動するとなると、それは別の話となります。
アイゼンが使えても、アックスの使い方を知っていても、それらのコンビネーションが悪ければ、バランスの改善は見込めません。
つまり雪山で傾斜が強くなったり、トレースが無かったり、あるいは岩場が出てくると動きが不安定になる方はココを改善する必要があります。
右足で上がる際に、アックスは何処にある特率が良いか。
アックスが左上にある場合は、どちらの足で上がった方が力をセーブできるか。
アックスを雪面に刺す際の場所、角度と足の位置は、どのような場合にバランスが良くなり、悪くなるのか…。
ここで身に付けたいのは、傾斜や地形に応じてどのようなアックスの使い方をすれば効率よく登れるか。
あるいは逆に、アックスの場所に対して、足を何処に、どのように移動させれば効率よく登れるかを練習します。
・・・アイスクライミングをするだけでは、このことは身につきません。しかしこれらを理解し、行動すると、アイスクライミングは上手くなります。
2日目は阿弥陀岳をバリエーションルートから登ります。
雪の斜面だけでなく、簡単な岩場(V程度)でのクライミングがあります。
クライミングの難しさは初めての岩登りでもこなせる範囲ですし、、しっかりと確保をしているので安心してチャレンジできます。
このため、クライミング経験は不要です。
ここで「クライミングって楽しい!」となったら練習すればよいと思います。
クライミングをしたことのある方であれば、練習のために確保をしていただきます(経験の無い方でもOK)。
クライミング経験のない方は、ロープの操作をする必要はありませんが、山でのクライミングがどのように行なわれるかを理解できると思います。
いずれにせよ、特にクライミング経験もロープワーク技術も必要ありません。
阿弥陀岳の頂上からは一般道を下山しますが、この一般道も曲者。
急傾斜でのフロントポインティングの下降を繰り返すことになり、雪山での行動の判断の仕方、実践は今後の雪山に必要は経験となるでしょう。
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