八ヶ岳、小淵沢に住む山岳ガイド、加藤美樹・久野弘龍が、ヨーロッパ・シャモニやドロミテ、国内の雪山、冬山、バックカントリースキー、夏山、登山・クライミング教室、ガイドを行っていま
す。国際山岳ガイド連盟・日本山岳ガイド協会所属


 2008年〜    クライミング 瑞牆山 大面岩左稜線       

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 なぜ岩登りの練習をするのでしょうか。
 その目的はいろいろ考えられると思います。
 登山の安全のために岩登りの技術を身につけたい人もいれば、単にそのグレードをあげるという、スポーツ性に惹かれる人もいるでしょう。
 しかし岩登りを経験し、その技術を身につけたのなら、強くお勧めしたいのがマルチピッチクライミング。
 頂上や、より高い処を目指す「登山」の一つの手段として岩を登る行為、これがマルチピッチクライミングです。

 ここ瑞牆山は見ればわかるとおり、たくさんの岩峰があります。
 これらのほとんどにこのマルチピッチクライミングルートがあるといっても過言ではありません。
 今回は、これらの岩峰でも最大級の大面岩に行って来ました。

 クライミングの内容は、スラブのようなフェースとちょっとしたクラッククライミングがあり、グレードは5.10b。ピッチ数は7ピッチで、下部はちょっとスッキリとしていませんが、クライミングの
多彩さ、ロケーションなどから、絶対のお勧めです。
 瑞牆山のマルチピッチクライミングルートとしては、最初に押さえておきたい一本です。
 また、今後のクライミングを考えた場合、同じ瑞牆山の調和の幻想、そして太刀岡山左岩稜、そして、この大面岩左稜線は、クラッククライミングを含むという点で、必ず押さえておきたいル
ートです。
 クラッククライミングの重要性と楽しさ、そして可能性を知るには、良いルートです。



 ルートの下部はちょっと冴えないですが、それでもちょっと手強いスラブを含む数ピッチで、このトラバースから始まる5.10aのピッチがスタートします。丁度樹林帯を抜けたところで、景色
も良くなりクライミングも楽しくなってきます。
 トラバースは見た目ほど難しくないですが、これを回り込んでから上がる、数bがちょっと難しく感じるかもしれません。




 核心部の5.10bのピッチ。
 スラブチックなカンテクライミング。いかに足に立つかが重要な鍵です。傾斜は緩いので、足を信じて立ち込みましょう。ここでは靴のサイズが大きいとちょっと苦労するでしょう。



 ここまで来るともう安心です。



 5.10a。
 高度感も出てきて、夏には風が抜け、秋には紅葉が美しく、素敵なピッチです。



 さて、問題は最終ピッチでしょうか。
 グレードはそれほど高くはありませんが、ちょっと幅の広いクラックは登り方がわからないと、他のサイズのクラック以上に苦労します。
 焦らず、少しずつ高度を稼ぎましょう。このピッチのためにクラックの練習が必要ですが、これをスムーズにこなせれば、マルチピッチクライミングのエリアは大きく開けるでしょう。



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