す。国際山岳ガイド連盟・日本山岳ガイド協会所属
「北ノ俣」ってそれ何処の山?
って、山スキーをやらない人なら思うでしょう。
奥黒部の薬師岳と黒部五郎岳の間にある山。
あの赤木沢の源流域に当たる山です。
県で言えば岐阜県と富山県の境。丁度、山頂へのアプローチである「飛越新道」が、その県境上に重なっています。
黒部五郎岳との鞍部が「中ノ俣乗越し」で、その北にあるから「北ノ俣」?
かどうかは定かではありませんが、他の黒部川源流域の山に同じく、やはり穏やかで大きな山容が特徴です。
夏は既に手入れが成されてない「神岡新道」、もしくは林道開通により新しく開かれた「飛越新道」のどちらかから入山しますが、ぬかるんでいる分、水芭蕉の多い通好みの山であり、私は
初夏なども好きな場所です。
さて、この時期アプローチの林道は雪に埋まり、年によって歩く距離は変わります。
ちなみに今回は5月も中旬とあって、飛越トンネルまで15分ほどの処が雪崩で埋まっている他は雪は見あたりませんでした。
と、いうことは、雪のない夏道をスキー靴ってことですか?
運動靴を用意しなかった私達。忍耐でゴトゴト夏道を歩くこと、林道も併せて1時間近く。
1700b付近の尾根が北東へ向かう辺りで、やっと板が履けました。
林道には富山ナンバーが2台に、習志野ナンバーが一台停まっていたので、先行者が居ることは間違いなく、寝過ごして6時過ぎに出発した私達は、やはりビリッケツ。ガイドが朝に強いと
いうのは誤認ですね。
左/長丁場の飛越新道、北ノ俣岳はまだ遠い 右/富山ナンバーのジモピーは流石によく知っていて、寺地山まで運動靴!
尾根上なので既に雪は少なく、シールも処によっては灌木に遮られます。
寺地山に9時到着。
さて、ここから鞍部に降りさえすれば、時には反則スノーモービルも上がってくる広大な斜面が広がります。
遙かなる笠ヶ岳
懐かしい、赤い三角屋根の避難小屋には、既に数人の真っ黒に日焼けした男の子達が入っていました
泊まりなのでノンビリだそうだけど・・・「でも、明日は雨だよ?」←この日の夕方から雷雨でした。このちびっ子避難小屋じゃコワそッ
あとは自由なルート取りで斜面を登っていきます。
GWには、ここから連休中だけ営業する、太郎平小屋に向かった人も多いはず。
けれど今年は気温も低く新雪が良く降るので、一面まっさらな雪です。
これは滑りも期待できそう♪
が、しかし、KTは寺地山付近で、なんたることか!誰かの人糞にじゃれつき、この清浄な山の大気に、凄まじい汚臭を振りまきながら歩いている。
久野がその汚臭に耐えて雪で洗うが、やっぱり、どうやったって臭いものは臭いのです。
スライディングしては・・・「イヌセード」で腹見せて落ちていく大馬鹿KT 「それって、余計にツカレナイ?」
すっかり気分の萎えたらしい久野は、極端にスピードダウンして登っちゃ来ません。
結果、山頂着は5時間後。
黒部源流域の山々を見て、やっと機嫌を直した久野は、
「もう帰ろうかと思ったけど、来て良かった」
だ、そうで、いつもながらモチベーションは極めて低い。
スキーはいつもながら、ホワイトアウトさえなければ極めて快適な、ノンビリ斜面。
一瞬で終わってしまうとはいえサイコーです。
山頂から東側
左/黒部川源流域「水晶岳」や「鷲羽岳」
右/「三俣蓮華岳」「丸山」「双六岳」「槍ヶ岳」右手前は「黒部五郎岳」
山頂から北側
左/まだまだ雪がたっぷりの弥陀ヶ原に大日岳の連なり(下には太郎兵衛平小屋も見えてます)
右/薬師岳(左肩の台形が雄山、三角形が剱岳)
帰路は枝尾根が多く、割りに複雑な地形なので、スピードのあるスキーには注意が必要。
暗くなれば、まず下山は困難です。
帰りの快楽は一瞬にして終わる「アタイは大変ナノヨ!」
後は藪をかわしつつ、再びアップダウンの忍耐なのだ
近年急に上達した久野も、濃い藪の中を意外にスイスイかわしてくる
時間が許せば薬師岳日帰りも可能な、このスキーコース。
雪の少ない飛越新道の往復はもう嫌なので、折立開通を待つか、また来年ですが、次回は薬師岳日帰りをしてみようと思ったのでした。
「ぶふぅ〜やっと終わったわ?道のうえってアッタカくって、きもちいいワ」
藪が濃く、結局は登りとさほど変わらない下山時間が掛かりました。
合計9時間、病み上がりの久野に、生まれて初めてのロング山行であるKTでしす。「お疲れ様でした〜」
山岳ガイド ミキヤツ登山教室は、夏山、冬山ともに国内では八ヶ岳、穂高・槍ヶ岳、剣岳、北岳、小川山、瑞牆山など、海外ではヨーロッパのシャモニ、ドロミテで山岳ガイド、登山教室、雪
山教室、クライミング教室を行っています |