1日目はマルチピッチアイスへ。高差は100b前後で、下部の氷もあわせれば5ピッチあり、登る氷の長さはトータルで230bほどになります。
1ピッチ目は最大90度、50b。ここは氷結が甘い時はトップロープでのクライミングになるかも知れません。
2ピッチ目は70度、45b。
中間部は氷床と、数個の小滝を超えて行く歩きがありますが、これもルートとして楽しむことができます。
3ピッチ目からが核心で50b、50b、40bです。傾斜のきつい部分を選べば、85度10bから始まり、徐々に傾斜が落ちて70度ほどになり、50bでピッチを切ります。氷に凹凸がないために、傾斜以上に難しく、疲れます。ふくらはぎが張るルートなんてそうはありません。
人の多いゲレンデでしか登ったことのない人には新鮮です。凹凸を拾って足を置くクライミングでなく、自分でアイゼンを蹴りこんで、本当に前爪だけで立ち込んで登らないといけません。当然、バイルも自分でしっかりと振らないといけません。フッキングなんてまったく通用しません。
4ピッチ目、60度程の緩い氷を登ると、8bの氷柱があります。氷質はよいので、思い切って登れますが、抜け口の氷は乾燥しているためにバリバリ割れます。氷柱を抜けると50度程の滑滝が続いて2ピッチ目は終了です。50b。
5ピッチ目、雪面を少し行くと最後の氷を登ります。傾斜は65度程ですが、薄いので注意が必要です。
下降は立木でギリギリ2ピッチ(50b)で降りることができます。
このシークレットアイスでは、アイスクラミングのオーソドックスな技術が要求されます。バイルを振ることなく穴にフッキングしたり、アイゼンを蹴ることなく足場を捜してアイゼンを置くといった、上級技術とも思われがちなものは必要ありません。、ましてオーバーハングなんてのも出てきません。
しかし、ここの氷をどれだけの人が確実に登れるのでしょうか。緩く長い氷を確実に、しかも疲れず、そして速く。
ゲレンデで難度を求めるスポ−ツ的アイスクライミング以外にも、登山の一つの方法として高みを目指すアイスクライミングがあるのです。ここはそんな場所です。
緩い氷でしっかりと技術を学び、練習し、より大きなルートを目指しましょう。このルートをたった4倍にすれば、日本の雪ばっかりの歩き主体のアルパインアイスルートでなく、ヨーロッパのアルパインアイスルートですよ。
2日目は八ヶ岳、静寂の冬季沢登りルート峰の松目沢へ行きます。
マルチピッチアイスとしても、冬のクライミングルートとしても、アイス、ラッセル、雪壁登りと楽しめる好ルートです。 |