最後に・・・
ウェブ上の、とあるクライミング講習会のページでは、「女性は5.10a辺りまで、男性は5.10c程度が登れれば、それ以上は必要ない」などと記載されていましたが、これって女性を舐めてます。
5.13以上の上級レベルの世界を目指すなら兎も角も、5.10クラス程度で男女の差はありません。
5.10代では壁が垂直を越えることはまず希なので、腕力に差はなく、丁寧に足場を拾うことで、力を使うことなく登ることが可能なのです。逆に言えば、この「力を使うことなく登ること」が出来なければ、より上の1ステップへは進めないでしょう。
また、岩登りが山で役立つグレードに限度はありません。
より上のレベルが登れれば登れるほど体の安定感は増し、歩行技術にも長け、ルートを読む能力も育っていくからです。
夏だけでなく冬に関しても、岩登りをゲレンデで、きっちりクライミングシューズで登れるようになってから、靴で登ることやアイゼンで登ることが大切です。
ステップを踏むことなく、いきなりアイゼンや靴で登っても、基礎の動きが出来ないだけに、恐怖感で手足の動きがよけいに整理できなくなって混
乱し、アイゼンや靴で上手く登れるはずもないのです。
自分の身は自分で守る。
クライミングではロープがありますが、登山において自分の身を守る術は、あなたの持っている技術しかないのです。
そのために、全ての登山者にとって岩登りは必要不可欠なものです。多くの山岳事故は、アルプスなどの高山ではなく、ハイキング程度の低山で起こることを知る人は希です。
ただの転倒であっても、道迷いであっても、それが街ではないだけに、重大な事故となりうる場所が山なのです。
安定した歩行技術や、先を読む能力を身につけること、岩登りから得る安全意識、などといった課程を経ていない日本の登山界は、残念ながらかなりの危険を伴うものとなっています。
自分の身、また同伴者の安全を守るための努力は、惜しむべきではないでしょう。
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