八ヶ岳、小淵沢に住む山岳ガイド、加藤美樹・久野弘龍が、ヨーロッパ・シャモニやドロミテ、国内の雪山、冬山、バックカントリースキー、夏山、登山・クライミング教室、ガイドを行っていま
す。国際山岳ガイド連盟・日本山岳ガイド協会所属
昇天の氷柱、かなりたいそうな名前ですが、それもそのはず。登山界往年のアイドル?加藤保男のメモリアルルートでもあります。
場所は荒船山。
この低山ハイキングの山周辺にはアイスルートが沢山あり、その中でもこの昇天の氷柱は、文字通りアルパインクライミングを楽しめるルートで、荒船山の艫岩に食い込む一条の氷を登っ
て、頂上に立てるルートです。
わずか4ピッチなれど、その内容は多彩で、コンディションしだいではかなり難しいクライミングになります。
この山行報告では全くコンディションの違う2007年、2008年の記録を紹介します。
一ピッチ目は傾斜のゆるい氷から、氷柱、もしくは氷の少ない時期にはちょっとしたミックスクライミングになります。
見た目よりも難しく感じるかもしれません。
2008年は氷はよく凍っていました。
それでも抜け口は氷が薄く、右の岩にアックスをかけての登攀となりました。
2ピッチ目も氷結しだいです。
写真は2007年、氷結の甘い年で、グサグサの氷を岩を交えながら登りました。
難しいのは出だしだけなので、うまく支点を取って慎重に登りましょう。
3ピッチ目が核心となることが多いようです。写真は2007年。
岩の溝に氷がありますが、無いほうが良い感じです。アックスが決められるほど氷に支持力が無く、左の岩のフッキング箇所が隠されてしまいました。でも、足はおくことが出来るので、や
っぱり楽かも・・・。
つまり、氷があろうと無かろうと何とか登ることは出来ます。
支点は残置の腐ったハーケン、ボルトがあり、右の壁にはかなり登ったところにペツルのハンガーボルトがあります。ここまで登れば安心できるかもしれませんが、ここまでが結構大変で
す。
残置の支点を利用してアブミ、A0も可能かもしれませんが、ルートに似合わないし、安全上からも辞めたほうが良いかも。支点として使うかどうかは現場の判断ですが、その信頼度から、
使わなくとも登れるぐらいであったほうが良いでしょう。
同じ3ピッチ目、2008年の状態。南沢大滝や大同心大滝の、傾斜の強い部分をもう少し長くしたような氷結状態でした。
傾斜はあっても、氷がやわらかいので登りやすく、スクリューもがっちり利きます。
もし技術的に少しでも不安なら、シーズンによってこれだけ状態が違うので、情報を調べて氷結状態の良いときに登るのが良いでしょう。
4ピッチ目。2007年。
ここはそれほどシーズンによる差は無いようです。
どちらも風で舞い上げられた、傘状の氷と厚めのベルグラ登りです。
体をうまく振ったり、狭いガリーなのでステミングが有効です。
わずか4ピッチのルートですが、内容は多彩です。
氷が発達していても、そうでなくても、楽しめるルートです。
山岳ガイド ミキヤツ登山教室は、夏山、冬山ともに国内では八ヶ岳、穂高・槍ヶ岳、剣岳、北岳、小川山、瑞牆山など、海外ではヨーロッパのシャモニ、ドロミテで山岳ガイド、登山教室、雪
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