八ヶ岳、小淵沢に住む山岳ガイド、加藤美樹・久野弘龍が、ヨーロッパ・シャモニやドロミテ、国内の雪山、冬山、バックカントリースキー、夏山、登山・クライミング教室、ガイドを行っていま
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 2001年〜    クライミング 小川山マルチピッチ       

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南陵神奈川

「南陵神奈川」2ピッチ目(今回の画像は無いので、ゲストは関西からのHさんです)

大同心雲稜を雨で諦め、美濃戸口から小川山に転戦してくると、八ヶ岳東面には素晴らしい青空が広がっていた。

「セレクション」の取り付きに着くと、何パーティーも取り付いている上に、見える範囲の先頭パーティーは、最も易しい最初のスラブでフォローは既に足踏み状態。
待つ間も1bだって上がっちゃいない。

更には「お、お、落ちまーっす」と、ヌンチャク掴んでるのを見て諦めた。
果たしてあれでは、「セレクション」5ピッチに何時間掛かるのか知れたものではない。

それではと、「南陵神奈川」の取り付きに転戦すると、やはり「セレクション」からの転戦組山岳会が居た。
Iさんも居た。

彼らは3パーティーだが待つことにして取り付きに居ると、今度はそこに迷ってたどり着いたというカップル一組が来た。
彼女は「もうヤダ!疲れたもう帰る」
彼は「1時間は待つから休めるよ」(イヤイヤ1時間は掛からないと思うよ?)
・・・どうやら無理矢理連れてこられたらしい。

Iさんををからかいながら続いてスタート。
彼らは「南陵レモン」へトラバース、私達は「南陵神奈川」へ。

私も通常レモンへ行くのだが、「神奈川の方が面白かった」という久野の見解で久々に左へ入った。
が、この傾斜、登れるかな?登り初めて首を捻る。


手を効かせる為には、体を奥に入れないこと(でも体を外に出すのは怖いですよね)高度感はたっぷりです

ホールドはガバだが、体を外に投げ出すため案外パワー系ムーブ。Sさんは華奢な女性で、どう見てもパワフルには見えなかったからだ。
それでもSさん、「腕がもう駄目です」とか言いつつ登ってくる。

最後のチムニーは大回りして外のフェイスから登ってみたら、これが案外悪く、支点は取れないし10代後半と思われるムーブになってしまった(←しかも登ってないから岩汚い)
同じく外岩は初心者だというカップルも後続で来たので、チムニーに入るように伝える。
こちらの彼女は相も変わらず、「こんなの登れないよぅ、エ〜ン怖い〜もう家帰る〜やだぁ〜っっ!」と騒いでいたが、その割には案外リードの彼共々スイスイ登ってくるところを見ると、人工
壁には慣れているようだ・・・しかし人工壁クライマーにチムニーは辛いはず。

Sさんがフェイスで苦しむ頃、彼もチムニーの中で喘いでいた。あぁやっぱり苦しそう。
細かいフェイスを何とか這い上がって来たSさん「もの凄く大変でした」・・・そうですね。ホントはごくごく初心者クラスのマルチだったのに、難しくしてしまいました。。ゴメンナサイ。

隣の岩峰を望むと、「セレクション」で立ち往生していたパーティーはまだ全員登り切っては居ない。それでももう下部は空いているだろう。

「南陵神奈川」は「南陵レモン」の上部オフィズスより易しいだろう。ただ大方はオフィズスを巻いてしまうため「南陵神奈川」の方が登りごたえがあるのではないだろうか。



セレクション

小川山の代表的マルチピッチルート。その名の通り5ピッチ全てに個性があり、スラブ、チムニー、クラックと、変化に富んだピッチが続く。グレードは5.8までと数字的には易しく感じるが、嘗
めてかかるとまったくの初心者は奮闘を強いられるだろう。

アプローチもさほど無く、屋根岩2峰の「南陵レモン」などと共に、小川山の超人気マルチピッチルートとなっている。

さて神奈川を下降して「セレクション」に移ると、やはり空いていた。Sさんにはやや疲れも見えていたが、空いているルートを見て観念したらしい。
「まだ時間的には大丈夫ですが、どうします?」
「せっかくだから・・・行きます」

「1ピッチ目はクラックでもフェイスでも選べますけど?」
「フェイスでお願いします」

そこで左からスタート。
スラブの上には「蜘蛛の糸」にトライ中の女の子とその仲間が居る。「きゃー怖いっもう一個カム取ります!」頭上に響く悲鳴。
ボルトルートではなくクラックでは、支点も自分で取る困難さと恐怖感が伴う。(はぁ〜ありゃ怖いよねぇ)

彼らを見送って3ピッチ目チムニーへ。ここはザックなど背負っていなければ楽ちん。

4ピッチ目がかなり掛かった。オフィズス気味のクラックからフェイスに上がりスメア(ソールの摩擦)で上がる一歩という、一連の動きが、外の岩だと緩い処しか行ったことのないSさんには、
どうやって登ったらよいのか解らない。

すぐ上でピッチを切って指示するものの、やったことのない動きなだけに困惑してしまったようだ。
「あの、クラックは私無理です。フェイスからで良いですか?」と木に登るも、今度は登りすぎて岩に移れない。
「もっと下りて」と指示したらやっと岩に移れたが、今度はその上のスラブの一歩が上がれない。スメアリングというのも、実際には人工壁の壁に足を付けてやっているはずなのだが、人工
壁だと意識してやっていないケースが多く、これも外だとできない人が多い。

以外かも知れないが、人工壁でも外でも実際にスタンス(足場)に乗っている爪先よりは、体重の乗っていない側の足をどういった位置に振っておくか、などで、その箇所を越えられるか越
えられないかが変わってくるものなのだが、多くの人はスタンスに乗れる側の足にしか意識が集中できないもの。そして摩擦を生むためには、体をしっかり起こさなければ、倒した途端に摩
擦はなくなり滑ります。

彼女はこうして何度か滑っては落ち、を繰り返した後、気合いで体を起こして上がってきました。

最終ピッチは更にクラックを登ることも出来るが、易しいスラブを抜けて終了。
この「セレクション」彼女的には登り初めが一番怖かったのだとか。そうかなぁ?



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